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「IMFC終了後の福井総裁発言要旨より」


 日銀のホームページに「IMFC終了後の福井総裁、篠原財務官記者会見における総裁発言要旨より」がアップされた。IMFCとは20日にワシントンで行なわれた国際通貨金融委員会である。福井日銀総裁は、G7やIMFCなどを通じFRB のバーナンキ議長やECB のトリシェ総裁との会談等において活発な意見交換を行なったものとみられる。

 ここにおいて、米サブプライム問題による影響が「世界経済の成長にとって不透明要因となっている」ものの、「エマージング諸国の高成長にも支えられ、世界経済のファンダメンタルズは引き続き強い」ということが確認されたことも示している。

 今回のサブプライム問題の原因として福井総裁は、「Great Moderation」という状況が続いてきた中で、エマージング諸国の台頭が進み、ここに産油国も加わり、これら豊富な国際的な資金の流れが飛躍的に拡大。ここに、金融面でのイノベーションも加わったものの、その一部にリスクの評価に緩みが生じ、その後の市場の自律的な調整に繋がったと指摘している。

 グローバル・インバランスの問題や、エネルギー価格の高騰や希少資源の価格の高騰という問題といったような本質的課題を念頭において、世界の経済・金融を大きな構図で捉えて行くことが重要だとも指摘している。

 その上で、「こうした課題を乗り越え、世界経済の持続的な拡大を確保していく必要があります。そのために、各国がそれぞれの立場で適切な施策を実施していくことを改めて確認しました。」としており、日銀としても他国の金融政策に影響されるのではなく、自らの立場で今後の金融政策を行なっていく姿勢を示した。

 今後のマーケットとの対応については、「予見可能性を人々が早く抱くようになり、問題が起こった後のショックの吸収能力とキャパシティー(吸収余力)も大きくなるという形で、常に前向きに何か新しいものを作り上げていくという良いリズムをうまく見出していけるかどうかが課題となっていると思います。」との姿勢は適切なものと思われる。

 そして、金融政策の運営に関しては、「単に先を読むということではなく、常に過去を振り返り、その中から将来の政策運営に役に立つ要素を引き出し、かつそれに付加価値を加えて政策行動に結び付けていく」というフォワードルッキングな政策運営を維持することを示した。

 その上で、「われわれが思っている基本的シナリオに何か瑕疵があるということは確認されませんでした。われわれはむしろ確信を深めた」との発言もあり、最後に「われわれは一点の霧もない澄み切った世界に改めて戻るという幻想は持っておりません。常に先が読み難い状況の中で本当に正しい政策を行っていくことが本来の姿であり、今後ますますそういう姿になっていくという覚悟を各国政策当局者はしっかり持っているということが、今回確認されました。」と結んでいる。

 今回のG7やIMFCにおいて、日銀としてもFRBやECBの姿勢に変化があったりかどうかを見極めたいということもひとつの課題であったのではないかと思う。今回の福井総裁の発言からは、日銀がこれまでのシナリオを変更するほどの影響はなく、フォワードルッキングな政策運営を維持した上で、それぞれの立場で適切な施策を行なうとの立場を示した。つまり日銀とすれば、「リスク要因を点検しながら、経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで、徐々に金利水準の調整を行う」(全国信用組合大会における武藤副総裁挨拶より)姿勢に変化はないことを示したものと思われる。
by nihonkokusai | 2007-10-23 09:59 | 日銀
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