「来週のGDPにも注目か」
今後発表される経済指標の注目は、13日に発表される4-6月期の実質GDP成長率である。予想は+0.2~0.3%近辺か。成長率は鈍化するものの 2005年1~3月期から10四半期連続のプラス成長が見込まれている。日銀はこのGDPに関しては、減速しても驚くべきものではないとしており、多少減速したとしてもこれによって日銀の利上げに対しての阻害要因とはならないと見ている。
しかし、8月22日から23日にかけての金融政策決定会合での追加利上げが実施されるかどうかは、米国のサブプライム問題に端を発した信用収縮への懸念が収まり、金融市場での動揺が鎮まってくるかどうかも大きなポイントともなりそうである
夏季休暇シーズン中に開かれる8月の理事会は、慣例として電話会議で行われるため、8月2日は記者会見は予定されていなかった。しかし、トリシェECB総裁は2日のECB理事会後に予定されていなかった記者会見を行い、「物価安定に対する上振れリスクが現実のものとならないよう強い警戒は不可欠」として9月利上げの姿勢を示すとともに、信用収縮への懸念による金融市場での動揺に対しては「マーケットの値動きは注視に値するが、下落はリスク評価の正常化である」との表現をしていた。
また、7日のFOMC後の声明文において、サブプライムローンの焦げつきによる影響に対しては、金融市場の動揺や信用収縮などを背景に、景気の下振れリスクがやや高まったと指摘したが、最大の懸念は、物価上昇率が予想通りに低下しないリスクだとの文言は踏襲され、中立的な姿勢を引き続き示していた。
相場も先行き乱高下する可能性はあるものの、23日に向けて多少なり落ち着きを取り戻してくれば、日銀が利上げを実施してくる可能性は十分にあるとみている。市場の予想もほぼ五分五分となっているようだが、これは市場の見方が極端に偏りを見せているよりも、日銀にとってはむしろ居心地の良い状況とも言えるかもしれない。