「また反対されたキング総裁」
昨日20日に、今月7日に行なわれたイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)の議事要旨が発表された。この中で、キング総裁は0.25%の利上げに一票入れたものの、結局5対4で利上げは見送りとなったことが明らかとなった。2005年8月にイングランド銀行が利下げを行った際のMPCの採決も、5対 4とこのときもキング総裁は少数派となっていた。キング総裁の意見が通らなかったのはこれで2回目となる。
コンセンサスを重視しているFOMCで、もしFRB議長の提案が多数決で否定されたりすれば議長の信認が低下し、場合によると辞任に追い込まれるといったこともありうる。
また5月11日の「若き知」でも指摘したが、日銀の金融政策決定会合では議長提案が出される前に、それぞれの委員の意見がある程度集約される。その結果、4対4に意見が分かれているとみた際には、最終的に議長である総裁が議長提案をどちらで出すのかによって決定されるわけである。このためイングランド銀行のように総裁が結果として少数派になることは、この日銀の金融政策を決める上でのシステムからは考えづらい。
中央銀行の金融政策の意思決定のやり方については、それぞれの国もしくは地域によって異なってくるが、どのシステムが良いということは言いづらい。しかし、多数決である限り、コンセンサスを重視しての全員一致を原則とするFOMC方式よりも、まさに多数決であるMPCの方式のほうがある意味透明性があるようにも感じるがいかがなものであろうか。