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「全員一致が崩れるか」


 日銀は本日14日から15日にかけて、金融政策決定会合を開催する。世界的に金利が上昇している中にあって日銀の金融政策の行方には、これまで以上に注目が高まっている。

 米国市場では10年債利回りが13日に、5年2か月ぶりの水準となる5.32%まで上昇した。米国での個人消費の底堅さや設備投資の下振れ懸念がやや薄らいだことにより、市場の一部で期待されていた利下げ観測が大幅に後退していたことが背景にある。住宅市場の調整はなお続いているなど懸念材料もあるが、総じて悲観的な見方は後退している。

 さらに欧州でも、ECBのトリシェ総裁は「金融政策は依然緩和的だ」と発言するなど利上げ継続姿勢を変えていない。また、イングランド銀行のキング総裁も、英国中銀は追加利上げを迫られる可能性があるとも発言している。スイス中銀は本日にも追加利上げを実施するのではないかとみられている。ニュージーランド準備銀行は今年に入って3月、4月に続いて6月にも政策金利の引き上げを実施した。中国での追加利上げ観測も高まっている。

 このように、世界的に金融引き締めムードが広がるなか、日銀の動向に注目が集っている。以前にスイスのゼロ金利解除後の金融政策に対して「金融緩和の巻き戻しに関しては、緩和策を取った際の手法とは異なり、市場にサプライズを与えることのないように、時間をかけて、市場参加者が経済金融環境の変化などを材料に、今後の利上げの可能性を十分に織り込むのを待ってから政策変更を実施」とあったが、これは現在の日銀も同様ではないかとみられ、サプライズを伴うようなかたちでの追加利上げはないとみられる。

 このため、今回の金融政策決定会合では政策金利は現状維持となろうが、注目は採決の結果であろう。据え置きに対して反対票、つまり審議委員からの利上げ提案が、1票もしくは2票、出てくる可能性はありそうである。

 ここにきての円安は、日銀の追加利上げペースが時間をかけての緩やかなものに止まるとの見方もそのひとつの要因となっている。福井総裁は5 月18日の会見で「人々の期待に反して金利水準を一定に据え置き過ぎる、あるいは据え置くだろうという期待が、また逆に資源配分に歪みを生じさせ、本来ならば息の長い景気の拡大が続くべきところを、波を生んでしまうというリスクがあります。」とも指摘している。今回もし反対票がでれば、為替市場を含めて市場参加者の見方にも、微妙な変化が出てこよう。

 今回、もし利上げ提案にともなう現状維持の反対票が出れば、市場では8月よりも7月における追加利上げとの見方を強めてくる可能性がある。総裁は5月18日の会見の中で次のような指摘もしている。「最終的に抽出された経済・物価情勢の判断、マーケットの情勢を土台に、金融政策について的確な判断をしていきたいということです。参議院選挙というカレンダーの上のひとつのマークだけに目を逸らしてしまうと、経済実態の判断を見誤るリスクがあると思っています。」

 本日の日経新聞では、今国会の会期延長は不可避の見方が与党内で強まるとの記事もあったが、7月の参院選については会期の延長がなければ、7月5日公示、7月22日に投開票が予定されている。しかし、もし会期延長となれば投開票日が29日にずれ込む可能性がある。しかし、上記の総裁発言などからも、こういった政治スケジュールに関係なく、日銀は7月12日での金融政策決定会合で追加利上げを行なう可能性はあるのではないかとみている。
by nihonkokusai | 2007-06-14 10:50 | 日銀
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