「夜のピクニック」
なぜこの小説が気になっていたのか。恩田陸さんの出身高校が水戸一高であり、その伝統行事でもあった「歩行祭」が小説のもとになっていたためである。
茨城県の進学校と言えば、私の高校時代はなんといってもこの水戸一高が飛びぬけていた。その水戸一高と私の母校の土浦一高は、私の在校当時「土水戦」と呼ばれる交流戦が年一回それぞれの高校で交互に開かれていた。交流戦というのも、メインが野球の試合であったためであるが、そのほかのクラブも体育系に限らず交流戦を行っていた。
当時の水戸一高は、勉強ではなかなか追いつこうとしても追いつくものではなく、少なくとも野球の試合ぐらいは負かせてやろうと在校生も必死になって応援した記憶がある。現在では東大の進学率等などは土浦一高が上回っているが、これは、あくまで「つくば研究学園都市」というIQのとても高い方々がわんさか集まった都市が出来て、その師弟が大きくなり、近くの進学校たる土浦一高に通ったためと言われ、水戸一高に追いつこうとのがんばりによるものではなかったと想像される(違うかなあ・・・)。
それはさておき、この水戸一高の「歩行祭」だが、この存在は当時も聞いていた記憶がある。また、これに対抗すべく土浦一高でも、夜ではなく昼であったが、筑波山までの歩く会も開催されていた。
当時のことは、こういったイベント中心に深く記憶に刻まれている。恩田陸さんもやはり同様であったと思われ、それで「夜のピクニック」という小説が出来たのではないかと思う。恩田陸さんは1964年生まれということで、土水戦でご一緒する機会はなかったようであるが、そんなに歳が離れているわけでもない。早速本屋に行って当時の記憶を呼び覚ませてみたい気がする。