「7月全国消費者物価指数(除く新鮮)は、+0.2%」
朝方発表された7月全国消費者物価指数(除く新鮮)は2005年の新基準で+0.2%と発表され、予想された+0.5%を下回った。2000年基準から 2005年基準に伴う修正値が市場予想の0.2%程度から実際には0.5%程度あった。総務省では新基準では交通・通信や教養娯楽が複数の下押し要因となったとしているが、新基準で教養娯楽に組み入れられた液晶テレビやDVDレコーダーの価格下落などが大きく影響したとみられる。7月の薄型テレビは- 23.3%、DVDレコーダーは-17.7%となり、「教養娯楽耐久財」は全体で18.1%のマイナスとなっていた。
物価を押し上げたのはやはり原油高の影響が大きかった。ガソリン価格が9.6%、灯油が25.5%上がるなど、石油製品全体では11.3%の上昇となっていた。この石油製品と食料を除いた指数は0.3%の下落となったが、このマイナス幅は縮小傾向にある。
米国の景気減速観測が強まっており、24日に発表された米新築住宅販売件数が6か月ぶりの低水準となるなど発表された経済指標では足元景気の減速傾向を示す内容のものが多い。これを受けて米10年債の利回りは4.8%を一時割り込むなど、3月以来の低水準ともなっている。欧州の足元景気は好調でECBの追加利上げ観測は強いものの、米経済への懸念観測などから独連邦債の利回りは4%を割り込んでいる。
このような米経済の減速懸念に加えて、予想を下回った7月全国消費者物価指数を受けて25日の債券相場は急騰した。ユーロ円金先なども急上昇し、2年債利回りは0.7%を割り込むなど、日銀による年内の追加利上げ観測も後退しつつあるとみられる。しかし、まだまだ予断は許さないものとみている。基準変更前の数値は大きく下げているわけではないといったこともあるが、日銀の意向が今回のCPIによって大きく変化することも考えづらい。
与謝野経済財政担当相は記者会見で「物価はわずかながら上昇の方向に動いている。来月中旬まで専門家がチェックして(脱デフレを)総合的に判断したい」としており、政府は早ければ来月中旬にも脱デフレを認定すると、日経新聞が伝えている。小泉首相の退陣を控えてのデフレ脱却宣言といった可能性も否定はできない。9月11日に発表される4-6月期GDP改定値の結果などを踏まえて、政府がデフレ脱却宣言を出せば、日銀の次の手は打ちやすくなるともみられる。
私自身も、少なくとも0.5%程度までの利上げは、できれば年内にも実施しておいて、その後は米経済動向など含めてしばらく様子をみてくるのではないかと引き続き予想している。ただし、市場参加者のコンセンサスは年内利上げなしに動いてきているものとみられる。