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「8月の債券相場」


 8月21日に発表された7月の公社債投資家別売買動向においても都市銀行が5ヶ月ぶりに買い越しに転じるなど、7月14日のゼロ金利解除を待っていたかのように都銀などが買いを入れたとみられる。

 短期国債を除いた7月の公社債投資家別売買差額は都市銀行が1兆2590億円の買い越しとなったが、反面、外国人は5ヶ月ぶりの売り越しとなり、売り越し額は1兆627億円となった。海外勢は現実の利上げに対して素直に反応したものと見られるが、利上げを待っていたかのような都銀とは好対照となった。

 この都銀などの買いによって、7月21日には一時的に1.8%を割り込んでいたが、その後はこの1.8%が次第に壁として意識されてきた。8月17日と21日に10年カレントの280回債は1.805%まで買い進まれたが、結局1.8%手前で跳ね返された。しかし、22日になって中期主体に国内投資家の買いも入ったことで10年280回は7月21日以来の1.8%割れとなるとともに、5年59回も1.3%を割り込んだ。

 債券先物も現物の買いなどを受けて8月は比較的しっかりした相場が続き、8月17日には133円台をつけてきた。米国の7月の米PPIがコアベースで予想外のマイナスとなったことやCPIコア指数が0.2%増と事前予想を下回るなどしたことで、米FRBの利上げ再開観測が後退し、これを受けて米債が買われたことなども債券先物の堅調さの背景にあったものとみられる。

 また、日銀も年内利上げは否定していないものの、ゆっくりと追加利上げのタイミングを計っているとみられることから、少なくとも9月あたりまでの利上げの可能性は薄いとみられ、売りも限定的なものとなった。

 ただし、都銀などの買いもあくまでこれまで大きく売りこしていた反動とともに、預貯金金利の引き上げなどにも対応する必要から買いを入れたものとみられ、今後も積極的な買いに転ずることも考えづらい。

 当面の債券相場は9月のBPIなどを意識した買いもまだ入るものとみられ、国内投資家などの買いを受けて戻りを試す展開が予想される。ただし、日経平均も16000円近辺で値固めをしたのちさらに戻りを試してくることも考えられる。9月に入ると自民党総裁選の行方なども気になってくる。安倍氏が最有力候補だが、日銀の金融政策を占う意味でも財務大臣の去就などへの思惑も出てくるものとみられ、次第に上値が重くなるとともに、日銀関係者からの発言などによって相場が動く可能性もあるため、注意が必要となろう。
by nihonkokusai | 2006-08-22 13:54 | 債券市場
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