「次回の利上げのタイミング」
債券市場などはすでに少なくとも2回程度の利上げを織り込んできているとみられているが、回の利上げはいつ頃のタイミングとなるのかを予想してみたい。量的緩和解除が3月に実施され、ゼロ金利の解除が7月となれば、その間4か月が経過していた。同じ期間が必要となれば再利上げは4か月後の11月と予想される。福井日銀総裁は「ゆっくりと小刻みに」との表現をしており、1、2か月では「ゆっくりと」との表現はなじまない。与謝野担当相も10日にゼロ金利解除後の利上げペースは、「ゆっくりと」に重点を置くべき、とコメントしている。
ただし、半年以上先となれば、これは少し間が空きすぎる感もある。念のため、これはあくまで主観であるが。このため、ゼロ金利解除から3か月もしくは4か月先、つまり10月もしくは11月の再利上げといった可能性が高いのではないかとみられる。
この再利上げに影響してきそうなのが自民党の総裁選挙である。もちろん金融政策は日銀の専管事項であり、経済や物価情勢に応じて実施すべきものである。しかし、量的緩和解除の際、さらにはゼロ金利解除の際にも政府側の意向といったものは無視できない。さらに、日銀としても政府側との意思疎通も図る必要性は当然認識しているはずである。
次の自民党総裁が誰になるのかはまだ予想は難しいものの、マスコミの世論調査などでは安倍官房長官と答える人がかなり多い。もし仮に安倍氏となれば、これまでの発言内容からも、日銀としてはこれまでよりもやりづらくなりそうである。
小泉総理はある程度、日銀の独立性といったものを尊重している。量的緩和解除の際に関しても「日銀の責任で」と念を押すことを忘れなかったものの、それを容認していた。ゼロ金利解除についても同様であろう。これには日銀に理解のある与謝野担当相の存在も大きかったものとも思われる。
今年9月末には時期自民党総裁と新政権の布陣も決まってくるとみられる。安倍氏とともに量的緩和解除などに慎重の姿勢を示していた中川政調会長の去就といったものも気になるところであろうか。
こうなると、少なくとも新政権誕生間際には追加利上げは難しいものとみられ、新政権との意見調整なども必要となろう。ちなみに2000年8月のゼロ金利解除の際、森首相と速水総裁との確執を目の前で見ていたとみられるのが当時の官房副長官であった安倍氏である。
結果として10月31日の決定会合以降の可能性が強まる。その際には展望レポートの発表もある。もちろん追加利上げに対しては、基準が改訂されているCPIや10月初めにも発表される日銀短観の内容といったものがまずは重視されると思われるが。