「正常化」
短観を受けて「デフレ脱却したと言い切れるところまできていない」といった谷垣財務相のコメントなどが伝えられる一方、「デフレという言葉が日本経済を表す言葉か、一度考えたい」との与謝野担当相のコメントも伝わるなど、デフレに対しての見方も政府側は統一されておらず、それはある意味、日銀に判断を委ねるとの結果になろう。ただし、「日本銀行が7月13、14日に開く金融政策決定会合で、ゼロ金利政策を解除する方針が、4日固まった」との読売新聞の報道などもあった。北朝鮮によるミサイル発射に関しても金融市場は落ち着いた動きを示しているなど、これによって解除が先送りされることは考えづらい。また、福井総裁の村上ファンド問題もこの日銀の動きには影響を与えてはいない、というよりも与えるべきものではない。
そしてゼロ金利解除とは直接的な関係はないものの、2005年度の一般会計において、税収が5年ぶりの水準となる49兆円となったが、所得税や法人税の伸びが予想以上であったことによる。これにより2005年度の国債依存度は4年ぶりに40%を下回ることとなった。また、2日の滋賀県知事選挙の結果なども政府はしっかりと認識すべきものであろう。地元への利益誘導が必要といったような認識で選挙は戦えない。民意といったものが変化しているのは前回の衆院選挙でも認識していたはずである。
ゼロ金利解除、つまり利上げに関しても同様ではなかろうか。与謝野担当相ではないが、デフレ、デフレとの経文をいくら唱えても国民はついてこない。国の公共投資などに頼らずとも、構造改革を推し進めることで、むしろ健全なかたちでの日本経済の正常化が可能となりつつある。その象徴的なものが、今回のゼロ金利解除ではなかろうか。