「続、福井日銀総裁、村上ファンド設立時に1000万拠出」
昨夜、首相官邸で開かれた月例経済報告関係閣僚会議に福井日銀総裁も出席し、村上ファンドに投資した理由について「勇気ある青年を激励するために、仲間とともに金を出した」と説明した。これは昨日の参院財政金融委員会での答弁と同じものとなっており、参院財政金融委員会での質問を受けるに際して、福井総裁も事前に回答を準備していたとも思われ、その問題の大きさ等を考え合わせそれについて首相官邸にも事前に連絡があたとみてしかるべきものであったと思われる。
総裁の投資行為について日銀は広報を通じて「服務ルールに違反していない。拠出から得た所得などは、ルールに基づき適正に報告されているものと認識している」とのコメントを出している。
小泉首相も月例経済報告関係閣僚会合後、記者団に対して「問題のある行為じゃない」と語ったうえで、総裁辞任は必要ないとの認識を示している。安倍官房長官も記者会見で「日銀の内規には触れていないと承知しているなど政府側の見解も統一させて、日銀総裁への責任は問わないとの姿勢を示している。
村上ファンドの問題については私の知識不足もあり、さらに情報不足などから個人的な言及は避けてきたが、インサイダー取引は証券取引法に違反した行為であることは間違いない。
しかし、村上ファンドが、株とは何であるのか、株主とは何かということを再認識させたことも事実であり、福井日銀総裁も「富士通総研の有志数人で私も入り、当初の志を激励しようという意味で資金を1999年秋に1人1000万円拠出した」と述べたように、当時、その志に共感したのは福井氏ばかりではなかったはずである。
ただし、その後の村上氏のやり方にきな臭さを感じていたのは私ばかりではなかったと思う。福井氏も本来ならば、日銀総裁就任時に解約をすべきであったかもしれないが、日銀の内規上も解約すべきものではなかったことで、他の有志のことも考え合わせてそのままにしていたものと思われる。
私人としての今回の福井氏の行為に対しては問題はないとは思うが、日銀総裁という公人としては、この保有を続けたこと自体には、やや隙があったと取られてもいたしかたない。さらにタイガースファンという福井氏にとり、阪神株をめぐる動きなどを見て、何かしら感じるところもあったはずである。それが大きな事件に繋がりかねないといったものの気配といったものも立場上も感じてしかるべきではなかったかとも思う。