「飲み会と意思の疎通、コックピット日記より」
この中のCaptain 17「行きつけは、お袋の味」では運航乗務員をはじめ「客室乗務員」のいきつけの店についてのコメントがある。残念ながら具体的な店の名前の記述はないが、できたらその店も知りたいような気もする。ちなみに、特に他意はないが・・・。は、さておいて、このなかに次のようなき記述があった。
「私の場合も、これらのなじみの店に足を運ぶわけですが、現在、通常の運航業務に加えて、副操縦士を目指す若い訓練生の指導も行っているため、彼らを誘って出掛けることが多くなります。コックピット内では教官と生徒という関係であり、お互いに緊張感をもって臨んでいるのですが、夕食の席では打ち解けて、彼らから率直な意見を聞けたり、先輩として相談に乗ってあげたりすることができるのです。」
「思い起こせば、自分自身もかつては先輩に連れられて、滞在先のなじみの店で食事をし、パイロットに必要なさまざまなことを教わりました。そして、今は自分がその立場になっています。」
そういえば自分もそうだったなあと思ったのだが、ふと考えると最近はこういった機会がめっきり減っているのではないかと危惧した。昔から若手はあまり上司とは飲み会に行きたがらない風潮はあったが、景気低迷、リストラや実力成果主義の台頭なども影響しているのか、それがさらに減っているような気がする。
仕事は先輩の仕事ぶりなどを見て覚えてゆくものである。机上で学ぶものと現実とはかなり状況が異なり、状況が変った際にどのように対応するのかといったものは、実際に現場で見よう見まねで覚えて行くほかない。現場では先輩に厳しく言われても、結果としては自分のためとなる。また、コックピット日記に書かれていたように、オフにおいて先輩と素直な意見をぶつけあったりすることでさらに学ぶことも可能になる。もちろん良い先輩に恵まれればという条件付きでもあるが。
しかし、そのような機会がめっきり減ってしまっている現状では、あまりにマニュアル対応しかできなくなる。まさに応用が効かない。それは移り変わの現実に対して対応が聞かなる。また、マニュアルを作った人たちの思いのままにもなりかねない。自らマニュアルを作り出すだけの気概も必要であるとともに、それには現場を経験している先輩達のノウハウの吸収といったものも大事になるのではなかろうか。