「政府のデフレ定義の見直し」
本日の日経新聞によると、政府はデフレ脱却について、指標として重視してきたGDPデフレーターだけでなく、GDPギャップや単位労働コストの2指標も重視する方向に見直しするようである。量的緩和解除前に小泉首相をはじめ政府要人が「デフレは脱却していない」としてきたのは、3月の早期解除に向けての日銀への牽制との意味合いも入っていた可能性があるが、政府のデフレ脱却宣言が出ていない以上は当然といえば当然の発言でもあった。
GDPデフレーターでは輸入価格が上昇しても下落してしまうということが問題点として指摘されてきていたが、政府もこれを考慮し、GDP ギャップや単位労働コストの2指標に加え、日銀の量的緩和解除の条件として使っていたCPIなども加味して総合的に判断する見通しとみられる。
政府も今回の日銀の量的緩和の解除を結果としては容認しており、デフレ脱却とはいえないものの脱却への動きを強めているといった表現をしている。今回の政府によるデフレ定義の見直しは、穿った見方をすれば9月の小泉首相の退陣前にデフレ脱却宣言をするための準備ともいえなくもない。さらに、経済実態がかなり脱デフレ色を強め、賃上げといった動きも広がりつつ。その中でGDPデフレーターに固執するあまり、デフレ脱却宣言がタイミング遅れとなってしまうといった懸念も考慮しているのではないかともみられる。