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1万円廃止論と金融におけるビッグデータの活用の限界

 1万円廃止論がある。ユーロやインド高額紙幣を廃止するところがあれば、スイスなど日本の1万円以上の額面を有する高額紙幣を発行している国もある。1万円札廃止論には費用削減のため、マネーロンダリングや脱税対策のためとの主張がある。また、キャッシュレス化を進めることでのビックデータの活用なども意識したものとみられる。

 日本では1万円札の発行残高が膨れあがっており、その多くはタンス預金と呼ばれるように、自宅等に保管されているとされる。これは犯罪目的というよりも、あまりの金利の低さ、そして匿名性が意識されてのものと思われる。もし1万円札を廃止すれば、タンス預金となっているものが違う資産に交換されようが、これは戦後の預金封鎖、新円切り換え時と同様の混乱をもたらす懸念があり、あまり現実的ではない。

 むしろ日銀の金融政策で利子を消滅させてしまったことで、その利子を復活させることにより、タンス預金を減少させることができよう。しかし、いまの日銀の金融政策における体制だけでなく、ここにきてのファンダメンタルズを考慮すれば、これも現状は現実的ではない。

 それでは日本のキャッシュレス化が、1万円札の流通量の多さによって阻害されているのかといえば、経産省がキャッシュレス決済の比率引き上げにはクレジットカードやQRゴートを使った決済など小額決済が念頭に置かれているとみられ、分けて考える必要がある。

 キャッシュレス化を通じた金融の流れのデータは、ある意味宝の山となろう。アマゾンや楽天、交通系カードを含めた電子カードの取引内容によって消費者の行動など分析は可能となろう。しかし、そのような小口の消費における決済データは民間を利用するのはある程度、容認されたとしても、本来の金融取引のデータを何かしら別の用途に使うということは果たして現実的なのであろうか。

 我々の金融取引におけるデータ、それはつまり銀行の口座の取引内容などを何かしら別の用途に利用するといったことは可能なのかということになる。むろんこれは金融機関にとって守秘義務が課せられることで利用することは本来できないというか、やってほしくはないものとなる。小額決済の取引データはさておき、金融という大きなインフラの中身のデータについては現金取引であろうが電子取引であろうが、それをほかの目的に利用するということには限界があろう。


by nihonkokusai | 2019-03-27 15:44 | キャッシュレス
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