「年金・郵政マネーが日本を救う」
年金と郵貯、簡保の資産は合計で490兆円にものぼる。この資金が少しでもリスクを許容できる資産に向かうことで日本が活性化するという趣旨の「年金・郵政マネーが日本を救う」が今月23日に金融財政事情研究会から発売される。
この本は4人の共著となっているが、その中のお一人が以前に財務省理財局の国債課長補佐をされていた野尻明裕氏であり、出来立ての本をご送付いただいた。ありがとうございました。
個人の資金が今、唸りを立てて動きつつある。その要因としては、銀行のペイオフ解禁に加えて、郵政の民営化や年金改革といったものも挙げられよう。個人も資産をリスク覚悟で運用しなければならない時代になっており、その一部が株式市場に入っただけでも大騒ぎになっているぐらいである。
しかし、リスクフリーに近かった預貯金資金が、いきなりリスクの高い株式市場にダイレクトに向かうというのも考えづらい。そういったものは一部に限られ、その前にリスクといったものを学習する上でも、株よりも総じてリスクが低い債券といったものにまずは向かうと思われる。
その受け皿としてはまず個人向け国債や、グローバル・ソブリン・オープンといった債券主体の投資信託が機能している。しかし、さらにCPや社債へと向かう可能性がある。そうなれば企業の資金調達の裾野が広がり、日本経済活性化に生かすことも可能となる。そのため、この本はまずその市場を整備する必要も説いている。
それほど厚くなく図表なども多く読みやすい。ご関心のある方はぜひ書店で確認していただければと思う。