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「米30年債発行再開の影響」

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 米財務省は2001年10月に30年債の発行を停して以来、約4年ぶりに30年国債の発行を再開する。まず2月9日に140億ドル規模の発行が予定されている。その後は半年ごとに、年間200億から300億ドル程度発行される予定である。

 米30年国債は1977年から定期的に発行されていたが、米国財政の黒字化にともない発行コストが最も高かった30年債の発行を2001年10月に取りやめた。しかし、ブッシュ政権に変り、テロやイラク戦争などによってわずか4年で財政収支は黒字から一転し最大の赤字へ転じてしまったのである。さらに世界的に長期金利は歴史的な低水準にもあることから30年債の発行コストが4年前に比べて格段と低くなっていることも、発行再開の要因のひとつとして指摘されている。

 加えて30年債に対しての投資家ニーズもたいへん強いものがある。欧米などでの年金制度の改正の中、運用機関にマッチするような長い期間の国債が乏しかった。このためもあり、より長い期間で、しかも最も安全とされる米国債としての30年債の発行が望まれていたのである。加えて年金ばかりでなく、30年債のストリップ化したものを中心にしての生保によるニーズの高さなども指摘されている。

 このようなことを反映してか、米30年国債は発行前からすでに人気化しており、発行前取引であるWI取引での需要は非常に強いものとなっている。すでにその利回りは、先日利上げが実施されたフェデラルファンド金利とほぼ一致しており、短期債利回りの水準ともなったのである。これは一部投資家のニーズを先読みしての動きともみられている。

 これを受けて6日の日本の債券市場においても30年国債が大きく買われたのである。欧州での急激なフラットニングに加えて、今回の米国 30年債の発行にともなっての米国市場での急激なフラットニングによって、日本でも同様の動きが強まったものとみられる。ここには日銀による量的緩和解除観測の強まりなども影響しているものと思われる。

 むかしは米国債のベンチマークといえば、この30年国債であったが、発行量の減少に伴ってそれが2000年あたりから指標銘柄として30 年債から10年債に変ってきており、米国でも日本と同様に10年国債がベンチマークとなって現在に至っているが、30年債の発行再開によって、今後は米国債券市場でも10年債とともに30年債の動きがこれまで以上に注目されるものとみられる。
by nihonkokusai | 2006-02-07 14:38 | 国債
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