12月のECBの追加緩和は不透明
追加の緩和手段としては、2016年9月までとしている量的緩和の期間を延長することのほか、銀行が中銀に余剰資金を預け入れる際の手数料(マイナス金利)を拡大することなどを、今回の理事会で協議したこともドラギ総裁は認めた。
ところがその後に、追加緩和の決定にはまだ議論の余地があるとのドラギ総裁の発言があった。しかし、その翌日、12月に緩和水準見直しへ行動する意欲と能力あるとも発言し修正を図った。いずれにしてもドラギ総裁としては12月3日のECB理事会で追加緩和を決定したいようだが、それはかなり不透明のようである。
ECBは追加緩和策の一環として、資産買い入れの対象に地方債を含めることを検討していると伝えられた(ロイター)。パリやマドリードなどの都市やバイエルンなどの州が発行する債券を買い入れる方向という。ただし、関係筋の1人は、12月のタイミングでは準備が不十分なため、来年3月までに導入される可能性があると話したそうである。
ECBのクーレ理事(フランス出身)は、フランスのフィガロ紙とのインタビューで、追加金融緩和に関してECBはまだ決断しておらず、来月の追加緩和を確約しているわけではないと述べた(ブルームバーグ)。
さらにドイツのショイブレ財務相は11日、ECBの低金利政策をめぐって、緩和的な金融政策は「モラルハザード」を生み出す可能性があるとして警告した(ロイター)。
追加緩和に対してドイツなどが反対するであろうことは想定できるが、あらためてドイツの「財務相」がこのタイミングで警告を発したことは、少なくとも12月3日のECBの利上げに向けた動きを牽制しているともみられる。
ECBが12月3日に追加緩和を決定するとなれば、12月15~16日のFOMCでの利上げの可能性を意識した動きともなり、通貨安に働きかけようとする意図が明らかとなる。これに対して米国などが牽制しているとしてもおかしくはない。
このように12月3日のECB理事会での追加緩和の決定については、技術的な問題を含めて、現実はかなり難しくなっているのではないかと予想され、今後のECB関係者などの発言にも注意が必要となる。
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