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今年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算

 財務省は2月18日に「平成27年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」を公表した。この試算は一定の経済前提を仮置きした上で、後年度(平成30年度まで)の歳出・歳入がどのような姿になるかについて機械的に試算したものである。

 試算は2つに別れ、来年度以降の名目経済成長率を2.0%とし消費者物価上昇率も2.0%に置いたものと(試算1)、来年度以降の名目経済成長率を1.5%とし消費者物価上昇率は1.0%に置いたものに分かれる(試算2)。いずれも消費税率引上げの影響は考慮しない。

 国債費を算出するための長期金利については下記の予想となっている、これも平成27年度は予算における積算金利、平成28年度以降は市場に織り込まれた金利の将来予想を加味した金利により積算している。

 2015積算 2016 2017 2018 2019 2020
試算1 1.8% 1.9%2.1% 2.3% 2.4% 2.6%
試算2 1.8% 1.8%1.8% 1.8% 1.8% 1.8%

 この試算によると国債費は、下記のようになっている(単位、兆円)


  2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
試算1 23.3 23.5 24.9 26.8 28.6 30.7 32.7
試算2 23.3 23.5 24.9 26.7 28.2 29.8 31.2
 長期金利の予想については、現在の0.4%程度に比べてやや高めに設定されている。これはあくまで試算であり、成長率や物価上昇率が反映されれば、この程度の長期金利の上昇もありうるとの前提となっている。このため利払い費についてはかなり高めに設定されているといえる。

 これは機械的に算出したものであり、現実に長期金利が想定された2%近辺に上昇すると、その要因次第では経済成長や税収そのものにも影響を与えることも想定される。現在の長期金利がファンダメンタルズに対して適正なものかどうかの判断も難しいが、日銀の大規模な国債買入によりかなりの程度押さえられていることも確かである。それとともに簡単には物価上昇は難しいとの前提も働いているとみられる。

 さらにここには国債に対しての信認度合いによる長期金利の変化は当然加味されていない。いわゆる財政リスクプレミアムの部分であるが、それが意識された動きが出る可能性も皆無ではない。

 いずれにしても巨額の国債残高を抱えている以上、国債費も膨大なものとなる。それをある程度抑えるためにも国債の信認を維持させ、それとともに税収を増やしていかなければならないことも確かである。

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by nihonkokusai | 2015-02-20 09:28 | 国債
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