警戒すべきはトリクルダウンならぬトリプルダウン
GDPは過去の数字であるためか、8日の東京株式市場はGDPの数字にはあまり反応しなかった。むしろ12月5日の米雇用統計で非農業雇用者数が上方修正されて、米株が上昇しダウやS&P500が過去最高値を更新し、さらにはドル円が121円台をつけるなど円安が進行したことを好感し、日経平均は7年4か月ぶりに18000円の大台を回復していた。
12月14日の衆院選を控え、自民党にとりGDPの下方修正は本来マイナス要因となるところが、日銀の10月31日の異次元緩和第二弾の影響もあり、内閣支持率のバロメーターとされる株価は上昇しつつある。
ここまでの急ピッチな円安は、中小企業や我々消費者にとってはマイナス要因となるが、大手輸出企業にとっては思わぬ神風となりうる。これについて安倍首相はトリクルダウンという言葉を使っているが、大手輸出企業が為替差益で儲かっても、それが中小企業や個人全体に還元されることは考えづらい。長い目でみれば、海外の工場を国内に移転するような動きが出てくることも予想されるが、ここにきての円安による原材料価格の上昇によるマイナスを打ち消すにはかなりのタイムラグもあるし、完全に還元されるわけでもなかろう。
今回の円安株高が何をもたらすのか。自民党にとっては票の上積みをもたらすのかもしれないが、市場ではそれによる反動も恐れている。いまのところ円安と株高はセットとなっているが、今回の円安については日米の金融政策の方向性の違いだけではなく、将来の日本売りも意識されている可能性もある。日本国債の格下げがあろうと日本国債はびくともしなかった。しかし、為替に関しては円の下落傾向が続いている。円のショートが増加すればその反動での円買いも起こりうると、通常ならば、円高株安を警戒しなければいけないところではある。しかし、最も警戒すべきなのは、むしろ円安のさらなる進行と株安、さらには国債の下落というトリクルダウンならぬトリプルダウンではなかろうか。
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