日銀の出口政策と日本国債
日銀の出口に向けた影響については、物価や景気への影響よりも先に国債市場に対する影響が焦点となる。2001年から2006年にかけて実施された日銀の量的緩和政策における出口政策は国債の買入には手を付けず、積み上げた当座預金残高を減らすことによって行われた。それでも多少なり長期金利は動揺を見せたが、これで長期金利が大きく上昇することはなかった。
現在、FRBが行っているテーパリングでも、その可能性が指摘された際に米長期金利が3%台に上昇するなど一時的な動揺はあったが、実際にテーパリングが開始されるとむしろ米長期金利は2.5%近辺で安定している。英国ではイングランド銀行による年内の利上げの可能性が高まっているが、英国の長期金利も比較的落ち着いている。
日銀が想定するように、今後夏場に向けていったん1%台前半まで落ち込んだ消費者物価が、秋以降に再び上昇し1%台後半を付けてくれば目標達成が見えてくる。日銀の想定通りに2%台に乗せても、日銀は当分の間、現状の緩和策を続けるとしている。それでも相場は先を読む。このときに長期金利はどのような動きを見せてくるのであろうか。
各種要因と長期金利を比べてみてはっきりしてくるのは、長期金利形成に最も影響を与えているのは日銀による金融政策である。ただし、これは日銀が大量に国債を購入しているためというよりも、実質ゼロ金利政策が続いているためといえる。長期金利は日銀の国債保有額などより、政策金利との相関度が高いことからもそれは伺える。
そうなれば日銀が利上げに向かわない限り、現在の長期金利の低位安定は崩れないとの見方も可能となる。利上げがあって、その分長期金利も上方にシフトする、ということは極端に長期金利の上昇はありえないとの見方も可能となる。
長期金利の失われた15年の間に、ゼロ金利解除は2度経験し、利上げもあったが、それによる長期金利の上昇は限定的であった。だから今回も問題なし、として良いのであろうか。
これまでのゼロ金利解除や利上げ局面でも、日銀の国債買入の減額というケースはなかった。ましてや、昨年の量的・質的緩和の中心的な存在が大胆な国債の買入であった。では日銀も米国のようなテーパリングは可能なのか。
昨年の日銀の異次元緩和以前でも国債消化には問題がなかった。国債買入を異次元緩和以前に戻しても、一時的な動揺はあっても、買い手不足といった足元の需給要因で国債相場が崩れることは考えづらい、との見方も可能となる。
それでは日銀が出口政策を行って、テーパリングや利上げを行うことになっても、政策金利が低い状態であれば、日本国債はほとんど動揺を示さないのであろうか。たしかにその可能性は否定できない。債券の流動性も回復するかもしれない。
しかし、この長期金利の形成には財政リスクプレミアムがゼロという前提がある。デフレ脱却が見えてきたのならば、現在のドイツのように財政の健全化を急ぐ必要がある。その姿が見えてこないとなれば、いつまでも財政リスクプレミアムをゼロと置くことはできなくなる可能性もある。
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