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債券先物が13日に一時急落した理由

 3月13日の10時10分過ぎに、東証(24日から大証)に上場している長期国債先物(債券先物)の6月限が一時急落し、前日比1円安の143円75銭まで下落した。債券市場をウォッチしている人でなければ1円安といってもピンとこないかもしれないが、日経平均がいきなり1000円下がったイメージである。

 その売りのタイミングからみて、10時10分の日銀による日銀の国債買入が原因とみられる。日銀が13日に実施した長期国債買い入れオペののうち、残存期間10年超の国債買い入れ額は1700億円となった。2月26日実施分から従来の2000億円から1800億円に減額され、今回はさらに100億円減額となったのである。

 2月26日に2000億円から1800億円に減額された際にも債券先物は売られたものの、前日比では17銭安までであり、このときは日経平均がマイナスからプラスに転じたこともあって、オペの減額だけで売られたわけではなかった。不意を食らった面はあったが、この程度の減額はある程度想定されていたこともあり、タイミングはさておきサプライズとなるようなものではなかった。

 日銀は昨年4月に量的・質的緩和策を導入し、金融政策のターゲットをマネタリーベースに変更し、年間約60~70兆円に相当するペースで増加させるとしている。そのための資産の買入れについては、長期国債は保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加し、平均残存期間が7年程度となるよう買入れを行うとしている。 これにより当初の毎月の長期国債のグロスの予定買入れ額は7兆円としていた。

 ところが日銀保有の国債の残存期間も延びてきており、国債の保有残高と残存年数の目標を維持するとなれば、毎月償還されるものが相対的に少なくなることで毎月の買入額は縮小するなどの調整の必要が出てくる。

 FRBの量的緩和政策は債券の残存ではなく、毎月の購入額がターゲットとなっている。このため、この購入額を減らす政策(テーパリング)が現在取られている。日銀とFRBはやっていることは国債を主体とする債券の大規模買入だが、ターゲットの違いがあり、日銀が毎月の国債購入額を減少させてもテーパリングということではなく、あくまで目標に対しての残高と平均残存期間の微調整に過ぎない。

 このあたりのことは債券市場関係者は熟知していると思われ、昨日の100億円程度の減額で動揺を見せることは考えづらい。このため、昨日の債券先物の売りは、日銀の買入減額をみて、短期的な仕掛売りを入れたが、板が薄く思いのほか一気に下げてしまった可能性などが考えられる。ただし、現在のシステム上では成り行きでも20銭しか下げない。20銭下げてからまた売りを入れる必要があることを考えると、その売りに乗っかったか、ここにきて相場が膠着状態となっていたことで、ある程度の値幅の動きでストップロス、つまり自動的にロスカットしなければいけない投資家の売りが継続して入った可能性がある。

 このあたり現物債と比較すればわかるが、債券先物は1円下げても10年債の利回りは0.02%程度しか上昇していない(債券の利回りと価格は反対に動く)。10年債は価格に引き直すと20銭程度の下げである。これをみても先物だけが何かしらの要因で急落したとみるのが普通であろう。先物の下落をみて現物も少し連れ安した程度となっていた。

 昨日の動きに対し、日本取引所の高橋直也広報課長は、「特にシステム面や取引面では問題はないようだ。通常の取引。誤発注という報告は来ていない」と説明したそうである(ブルームバーグ)。たしかに現在は誤発注を防ぐような仕組みにもなっており、当初売った(仕掛けた?)発注者が数量を少し間違えた可能性は残るが、その後の売りは久しぶりに動いたことで乗っかった売りやストップロスによるものではなかろうか。

 現物債などの動きを冷静にみていれば、売った向きもおかしいと感じたはずで、1円安をつけたところでショートした参加者が今度は買い戻しに一斉に走ったとみられる。しかし、元にまで戻らなかったのは、システムの売りなどテクニカルによるものの売りが残った為ではないかと思われる。

 いずれにしても6月10日に中心限月が3月限から6月限に変わり、動かなかった3月限とは違い少しは動きがでるかと6月限には期待した。10日と11日の前後場の値幅はそれぞれ10銭と11銭となり、6月限よおまえもか、と思ったが昨日の動きでどうやら6月限は動いてくれそうな気配が出てきた。やはり相場は動いてくれないと相場らしくないし、市場は低迷してしまうばかりである。

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by nihonkokusai | 2014-03-15 13:33 | Comments(0)
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