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2014年の債券市場のテーマは需給からファンダメンタルズに

 新年あけましておめでとうございます。2014年最初のコラムは今年の債券相場を占ってみたいと思います。

 2013年の日本の長期金利は結果からみれば、1%以下で推移していたこともあり、低位安定と言えるでしょう。しかし、実際にはかなり波乱含みの展開となっていました。その大きな要因となったのが、4月の日銀による量的・質的金融緩和でした。これが債券市場の需給バランスを崩すことになり、債券市場での流動性を歪めることになりました。日本の長期金利は4月5日に一日で0.315%から0.620%まで上昇し、債券先物はサーキット・ブレーカーの発動が多発しました。5月にはFRBのテーパリングが意識されて、日本の長期金利は23日に1%まで上昇しましたが、そこが2013年の長期金利の最高値となったのです。

 5月に1%をつけた日本の長期金利はその後低下傾向となり、11月には0.6%割れとなりました。その間の東京株式市場や外為市場での円の動きについては、ほぼ横ばいで推移しており、米国やドイツの長期金利はじりじりと上昇していました。この間の日本のCPIは上昇傾向にあり、国内景気も回復しつつあったのは日銀短観などからも確認できます。

 5月から11月にかけての日本の長期金利の低下には、日銀による大量の国債購入による需給への影響が大きかったと思われます。ただし、需給以外の要因を全く無視できないことは、昨年11月以降の日本の長期金利の反転にも現れています。

 10月にあった米国の一部政府機関による景気への影響は限定的となり、むしろ米国の雇用などは思った以上に回復し、FRBのテーパリング開始が現実味を帯びてきました。テーパリングによる資産価格等への悪影響よりも、テーパリングが可能になるだけの世界的なリスクの後退と、世界経済の回復が意識されたと言えます。

 東京株式市場も11月あたりから上昇基調となり、その背景には日米の金融政策の温度差を意識した円安も影響しました。12月のFOMCでテーパリング開始が決定され、米国の長期金利は3%台に乗せました。ただし、極端な金利上昇というわけではなく、比較的緩やかな上昇となりました。

 このような環境下で2014年を迎えたわけですが、今年の日本の長期金利の動向を占う上で注目すべき大きなポイントは、やはり中央銀行の金融政策となりそうです。4月からの消費増税実施による景気と物価への影響。それを睨んで日銀の量的緩和を中心とした政策にどのような変化が起きるのか。それに対して米国FRBのテーパリングのピッチ次第では、為替市場にも微妙な影響を与えることが予想されます。

 現在の環境を見る限り、日本の長期金利が低下する要因よりも上昇する要因のほうが多いように見えます。2013年は日銀の異次元緩和もあり、国債需給が大きなテーマとなり、それが日本の長期金利の抑制要因となりました。

 しかし、2013年4月と同様な大胆な国債買入を主体とする追加緩和策は今後はかなり困難となるでしょう。やりすぎると日銀は財政ファイナンスを行っているとの認識が広まりかねません。黒田日銀の追加緩和策は、見かけ上は量より質を重視したものとならざるを得ないと思われ、その結果、市場への心理的な効果はあっても一時的なものとなると予想されます。

 2014年の債券市場のテーマは、国債需給からファンダメンタルズに移行してくるのではないかと見ています。いまのところコアCPIの1%台乗せも完全に無視された格好となっており、米国やドイツ、英国の長期金利上昇に比べて日本の長期金利の戻りもさほど大きくありません。しかし、2012年まで吹き荒れていた世界的なリスクはすでに後退しており、世界的なリスク後の世界を意識する必要があります。そのなかにあり、脱リスクではなく脱デフレを旗印に抱えた日銀が異次元の緩和策を実施していることが、むしろ日本のリスクを高めることが予想されます。

 2014年の日本の長期金利がそのようなリスクを意識し始めると、かなりの変動を起こす可能性があります。市場は需給だけで動いているわけではありません。そのあたりも今年の相場を占う上では意識する必要があります。日本の長期金利がもし1%を超えることがあると、あらたな展開を迎える可能性が出てくると予想されます。

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by nihonkokusai | 2014-01-07 09:44 | Comments(0)
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