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来年度の国債市中発行額は今年度並みか

 12月16日に開催された国債市場特別参加者会合(第54回)の議事要旨が公表された。これによると、平成26年度予算に伴う国債発行計画について財務省から以下のような発表があった。

 12月12日に予算編成の基本方針が閣議決定され、「新規国債発行額についても、平成25年度を下回るよう最大限努力する」とされた。つまり新規国債(建設国債と赤字国債)については、今年度の43兆円規模を下回る可能性が高そうである。

 「26年度は、借換債及び財投債の増加により、国債発行総額の増加が見込まれているが、一方で、25年度中の前倒債の発行が進んでいる。このため、26年度のカレンダーベース市中発行額は、今年度並み又は若干下回る見込み。」(財務省)

 借換債、前倒債、日銀乗換分等々の数字を細かく見ておく必要もあるが、特に前倒債の活用次第でかなりの調整が可能であるため、細かいところはさておき、要するに実際に入札等で発行される「カレンダーベース市中発行額は、今年度並み又は若干下回る」との部分がポイントとなる。つまり来年度の国債発行額の規模は180兆円程度に増額されるが、市中で消化される分については今年度並みの156兆円程度となるようである。ここから年限別の配分を予測することになる。

 「カレンダーベース市中発行の年限構成については、超長期債市場の消化余力、中短期債の投資ニーズ、国債市場の流動性の維持・向上などの観点を踏まえ、各年限についてバランスのとれた増額・減額を行いつつ、平均償還年限の長期化を行うこととしている。」(財務省)

 これまでの国債市場特別参加者会合や国債投資家懇談会での意見等からみて、増発の対象は30年国債と物価連動債が中心となりそうである。12月18日付けの日経新聞によると、来年度の30年国債は年間7.2兆円と今年度から4000億円増額し、毎月6千億円を発行するとしている。物価連動国債も1.6兆円として、今年度の1兆円から増額され、さらに来年10月以降はさらに上積みも検討するとある。加えて流動性供給入札も拡充する。それに対して2年債や5年債など中短期債は3兆円規模で減額する。10年債は据え置き。

 中短期債の3兆円規模の削減により、2年国債と5年国債は毎月の発行額から1000億円減額されると見込まれる。2年国債は年度で毎月2.9兆円のトータル34.8兆円から毎月2.8兆円の33.6兆円に、5年国債は2.7兆円の32.4兆円から2.6兆円の31.2兆円に減額されるのではなかろうか。2年国債と5年国債で2.4兆円の削減となり、残りの0.6兆円は1年の割引国債の発行額をその分減額すると思われる。

 3兆円分の増額については、30年国債で4000億円、物価連動国債で10月以降の増額も意識して増額分を年度で8000億円と置く。流動性供給入札は毎月6000億円を7000億円とすれば1.2兆円で、30年と物国。流動性供給でトータル2.4兆円増となる。流動性供給入札は毎月7000億円ではなく7500億円とすれば、トータルは3兆円の増額となる。

 これに対して、18日にロイターは増減の対象となる30年債の増発規模は8000億円から1.2兆円と、年間1兆円規模で増発する。一方、2年債は年間2.4兆円減らすと報じている。

 30年国債の発行は2012年度は7000億円を8回発行した。今年度は5000億円を4回、6000億円を8回発行し都合6.8兆円の発行額となる。2013年度について日経新聞は6000億円を毎月発行の12回で7.2兆円としているが、ロイターの記事では月額7000億円の発行額を複数回加えることを意識したものであろうか。また、減額に関して5年国債の取り扱いも日経新聞とロイターでは異なっており、このあたりまだ不透明な部分となる。いずれにせよ、カレンダーベースの発行総額は今年度並みとなるが、発行期間の長期化を意識して、年限別の発行については3兆円規模の増発と減額を組み合わせてくると考えられる。

 今後の借換債のことを考案しても、利払い費用を抑えるためにも、低金利のうちになるべく発行年限を長期化することは発行体として望ましい。中短期ゾーンは日銀の国債買入もあり、需給面からみて特に減額する必要性はないが、余裕がある段階で発行年限の調整は必要か。物価連動国債については、GPIFのニーズもあり消化には問題はなさそう。30年国債も投資家から超長期ゾーンの増額については問題ないとの意見も出ているように、さほど消化に支障はない。日銀の国債買入の影響もあり、来年度の国債発行計画も特に債券市場に大きな影響を与えるようなことはないと予想される。

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by nihonkokusai | 2013-12-19 09:27 | 国債
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