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日銀短観と市場への影響

 日銀が16日に発表した12月全国企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業の業況判断DIは「プラス16」となり、9月調査のプラス12から上昇し4期連続での改善となった。調査機関の予想はプラス13~16ポイントであったことで、ほぼ予想の上限に近い。プラス16は2007年12月調査のプラス19以来の高水準となる。先行きを示す2013年3月の予想はプラス14と減速を見込んでいる。ただし、前回の予想もプラス11と悪化を見込んでいたもののむしろ改善した。業種別では木材・木製品や自動車のプラス幅が大きいが、木材・木製品は公共投資や住宅投資に伴う建築需要の高まりが影響しているようである。

 大企業「非」製造業のDIは「プラス20」となり、9月調査のプラス14から上昇し、こちらも4期連続の改善となった。調査機関の予想はプラス15ポイントからプラス19ポイントとなり、予想を上回る改善となった。先行きを示す2013年3月の予想はプラス17としており、やはり減速を見込んでいる。こちらも業種別では消費税増税前の駆け込み需要により、建設や不動産などに加え物品賃貸の改善幅も大きくなっている。

 中堅企業も製造業・非製造業ともに改善し、中小企業の製造業は前回のマイナス9からプラス1に、非製造業もマイナス1からプラス4と、それぞれプラスとなった。中小企業の製造業のプラス転換は2007年以来、非製造業は1992年以来のプラスとなった。

 大企業全産業の2013年度の設備投資計画(含む土地投資額)は前年度比4.6%増となり、9月調査から0.5ポイント低下していた。特に製造業が1.7ポイントのマイナス修正となっていた。

 大企業製造業の2013年度の想定為替レートは96円78銭で、9月調査の94円45銭に比べて円安・ドル高方向に修正された。それでも現在の103円近辺の実際の水準に比べると、かなりの余裕をみている格好。

 今回発表された短観は、総じて予想以上の改善幅を見せていたが、さすがにそろそろ息切れとなる可能性もある。設備投資計画のマイナス修正も気になるところ。ただし、来年4月からの消費増税を前にした駆け込み需要等も引き続き予想され、それほど大きな減速とはならないのではなかろうか。

 短観の大企業DIと日経平均のトレンドはある程度一致する。アベノミクス登場後の急激な円高調整に加え、米国の株高も相まって東京株式市場も上昇トレンドとなっているが、それがいずれピークアウトするのかは、この短観の大企業DIの動向もチェックしておく必要がある。

 債券市場への影響については限定的と思われるが、それでもこの景気の回復は意識すべきものと思われる。日銀の国債買入の影響もあり、長期金利は0.7%近辺と低位安定しているが、CPIも前年比プラス1%近辺にいることもあり、実態経済に比べてやや乖離しているように見える。日銀の国債買入への依存度を高めてしまうと、のちに大きな反動がくる懸念もある。日銀が無理矢理、長期金利を押さえ込んでいるのではなく、そのような「期待」が長期金利を押さえ込んでいることも注意すべきかと思われる。

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by nihonkokusai | 2013-12-17 09:16 | 景気物価動向
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