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ECBは立ち止まって様子見のタイミングか

 12月6日の日経電子版の清水功哉編集委員の記事「ECB緩和「予告」した黒田総裁 QQE2もサプライズ型に?」は次のような書き出しで始まっていた。

 『「私は欧州中央銀行(ECB)が今回動くような気がしますが……」。市場を驚かせた11月7日のECBによる利下げの前に、そんな言葉を発していた人物が日銀内にいた。誰か? 実は黒田東彦総裁だったというのが関係者の話だ。』

 「兵は拙速なるを聞くも、いまだ巧久なるを睹ざるなり」との孫子の言葉があるが、金融政策において、特に緩和についてはサプライズ効果も意識して行う方が効果的である。黒田日銀総裁も、日銀プロパーではない黒田氏が総裁就任から短期間で追加緩和策をまとめ上げ、他の委員の同意を得るのは難しいとの市場の見方を覆し、3月20日の就任から2週間程度で異次元緩和策を決定した。これはサプライズ効果も多分に意識したものとみられる。11月7日のECB理事会で決定した追加緩和もタイミングとしては面白いと黒田総裁は意識していたのではなかろうか。

 私の個人的な見方としては、ECBは残り少ないカードを使うタイミングを計っていたと思う。それが11月の追加緩和となった。ただし、できればそれで打ち止めとしたいとの意向もあったのではなかろうか。

 11月のサプライズ緩和により、市場ではマイナス金利を含めた追加緩和への期待も出ていた。しかし、12月5日のドラギ総裁の会見内容などから見て、早期の追加緩和に対して過剰な期待は抱かないほうが良いのではないかと思われる。

 12月5日のECB政策理事会後の記者会見で、ドラギ総裁はECBにはユーロ圏経済を支えるために新たな政策措置を導入する用意があると述べたものの、どの政策措置を利用するかについては具体的に決めていないと発言した(ロイター)。

 一部の市場参加者が期待している追加長期流動性供給オペ(LTRO)についても、供給される資金が景気支援に使われると確信できるまで実施しないとの考えを示した。さらに、この日の理事会では特定の政策措置に関する討議は行われなかったものの、銀行の融資拡大を促すため、預金金利をマイナスに引き下げる案について「簡単に議論」したことを明らかにした。マイナス金利については毎回、簡単な議論は行われていると思うが、ある意味、非常時の対策ともなるマイナス金利やLTROを実施しなければならないほどの危機的状況にはない点にも注意すべきである。

 今回のECBの金融政策の据え置きについては、11月のユーロ圏消費者物価指数速報値が前年比0.9%上昇と10月の0.7%の上昇から伸びが加速し、10月のユーロ圏失業率が低下したことで市場では金利据え置くとの見方が多かった。ただし、金融政策は足下の経済指標で毎度のように変更するようなものではない。もちろん、リーマン・ショックや欧州の信用不安のような金融危機時に、何かの要因で金融市場が動揺を示したような場合には、市場安定の目的で金融政策を変更せざるを得ないような場面もあった。それはあくまで非常時の対応であり、現在の市場をみても危機的状況からはすでに脱しており、金融政策も平時の対応に戻りつつある。

 12月のECB理事会では、追加緩和の要請は誰一人として提案が無かったそうである。今後の追加緩和については含みを持たせており、可能性がないとは言えない。もしかするとあらたなドラギ・マジックを見せるかもしれない。しかし、すでに1年前とは金融政策を取り巻く環境は大きく変化している。FRBもテーパリング開始のタイミングを伺っている。イングランド銀行も軸足を出口に向け始めた。欧州はまだかなり問題を抱えているのも事実であり、出口に向けての方向転換は時期尚早ではあろうが、そろそろ立ち止まって様子をみるタイミングに入っているのではないかと思われるのである。

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by nihonkokusai | 2013-12-08 09:02 | Comments(0)
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