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日米の長期金利の動きが異なる理由

 日本の長期金利は7月3日に0.9%をつけたあたりから低下傾向となり、10月23日に0.6%をつけてきた。この日本の長期金利低下の背景は何なのか。

 最も説明しやすいものとして、FRBのテーパリング開始を巡る思惑がある。米国の財政問題を巡る与野党の駆け引きにより生じた米政府の一部機関の閉鎖がひとつの決定打となり、年内の開始観測は急速に後退した。米連邦債務の引き上げ問題を巡るデフォルトへの懸念なども混乱を招く結果となった。それらが米国の長期金利の低下要因となっていた。低下要因というよりもテーパリングを織り込む格好で米長期金利が3%まで上昇していたことで、その反動が起きた。

 この米国の長期金利の低下が、日本の長期金利の低下を招いたとの見方が説明しやすいかもしれないが、日米の長期金利の5月あたりからの推移を見ると、その説明にはやや無理がある。

 日本の長期金利は5月2日に0.560%まで低下していた。ところが5月10日にドル円が100円突破したことで、債券先物はサーキット・ブレーカーが発動し、長期金利は0.7%台に乗せた。13日も先物は連日のサーキット・ブレーカー発動となり、長期金利は0.8%台乗せに。15日に長期金利は0.920%に上昇していた。このあたりの動きは米債に連動していたというよりも、国債の流動性そのものが低下し、それが嫌気されて長期金利が一気に跳ね上がっていたと言える。先物のサーキット・ブレーカーの発動がそれを物語っている。

 その後の日本の長期金利は0.8%台主体に方向感に乏しい動きとなっていたが、7月2日に長期金利が0.895%と0.9%近くをつけてから、低下傾向が続き10月23日に0.6%近辺まで低下したのである。

 この間の米国の長期金利の推移を見ると、5月に1.6%あたりにあった米長期金利はFRBのテーパリング開始が意識され、9月5日に3%をつけたところがピークとなった。そこからは低下傾向となったものの、22日現在の米長期金利はまだ2.5%近辺にいる。日本の長期金利は5月の水準近くまで低下していても、米長期金利は5月の1.6%近辺からはまだ遠い位置にいる。米国の長期金利の低下も要因のひとつではあろうが、日米の長期金利の推移を見る限り、別の要因がありそうである。

 それではこの日本の長期金利の低下はどのように説明すべきなのか。都銀による国債の売り越しは続いているが、その売越額はここにきて減少してきており、9月は超長期債を買い越すなどのスタンスの変化もみえる。都銀以外の銀行や、信託銀行を通じた年金、さらに生保などの買いが都銀の売り越し以上にカバーしている。貸出以上に預金が伸び、生保も引き続き国債運用を積極化するなど、この長期金利の低下の要因には投資家の需要が存在する。もちろん国債の需給には日銀の国債買入も大きく影響していることも確かである。

 さらに注意すべきは5月の日本の長期金利の上昇が、国債の流動性が低下していたことが背景にあったことである。6月の都銀の国債の売買高(除く短期)は3兆5165億円と2004年4月以降では最低となっていたが、ここにきて徐々に回復してきており、9月は10兆4974億円と4月以来の10兆円台となった。都銀の売買高の回復は、債券の流動性が徐々に回復しつつあることを物語っている。これも日本の長期金利の低下に少なからず影響を与えていると思われる。日銀の異次元緩和後の市場の混乱もあり、慎重になっていた投資家も徐々に動きを活発化してきたことも予想される。

 さらに物価についても、7月のコアCPIは前年比0.8%と上昇してきているが、今後はこの上昇ピッチは鈍ることが予想されている。円安一服、ここにきての原油価格の低下なども影響し、日銀が掲げた物価目標の達成は実現が難しいとの認識も日本の長期金利の低下の背景にあるのではなかろうか。



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by nihonkokusai | 2013-10-24 09:22 | Comments(0)
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