物価上昇の備えに個人向け国債10年変動金利型はいかが
6月調査の「生活意識に関するアンケート調査」(日銀)によると、1年後の物価に対する見方(消費税率引上げの影響を除くベース)について、かなり上がるが17.3%(3月は10.4%)、少し上がるが62.9%(3月は63.8%)となっていた。
物価が上昇すればそれに応じて長期金利も上昇する(はずである)。もちろん異次元緩和による日銀の国債大量買入で、その上昇が抑制されたとしても、日銀の思惑通りにコアCPIが2%に上昇するとなれば、現在の水準を維持させることは難しくなる。
欧州はリセッションから脱却しつつあり、米国ではFRBが量的緩和の縮小開始時期を探るぐらいに景気は回復基調となっている。これらの背景には欧州リスクの後退がある。欧米の経済が立ち直りを見せれば、ここにきてやはり回復基調となっている日本経済にも好影響を与えよう。
主に円安によるアベノミクス効果だけでなく、外部環境も好転しつつあり、それにより物価も上昇しやすい状況にある。また消費増税による影響等も意識する必要もある。
生活意識に関するアンケート調査からは個人の物価観としては上昇すると予測しており、日銀の異次元緩和によって2%の物価上昇もありうると思うのであれば、最適な金融商品となるのが、個人向け国債の10年変動金利型となる。
今後長期金利は上昇すると予想するのであれば、固定利付きの債券であればなるべく期間の短いものを購入し、金利がある程度上昇してからあらためて利率の高く期間の長い債券を購入するというのが理想である。ところが、個人向け国債の10年変動金利型であれば、長期金利の上昇に応じて利率も上昇する(半年のラグはあるが)。
さらに個人向け国債であれば、1年間という売却できない期間はあるものの、1年経過すれば財務省が額面で買い取ってくれる。つまり債券の大きなリスクとなっている価格変動リスクと流動性リスクが「ない」。残る信用リスクについては、日本国債をどうみるかであるので、それはそれぞれ見方は異なろうが、債券市場の動向を見る限り、いまのところは日本国債への信用リスクはほとんど意識されていない。
個人向け国債はこのようにリスクが抑えられている分、利率は普通の国債より低めに設定されている。これもあり、現在のように長期金利が1%を割り込むような低金利の状況では、なかなか販売も苦戦している状況にある。しかし、もし物価上昇の可能性を意識しているのであれば、個人の資金の安全な投資先として、さらに金利上昇分も享受できるものとしての10年変動金利型はなかなかの魅力ある商品かと思われる。
ちなみに、個人向け国債10年変動金利型の次回募集期間予定は9月で、発行は10月である。今年の12月募集分以降は個人向け国債の「変動10年債」及び「固定5年債」の募集・発行は毎月行われる予定となっている。
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