「竹中総務相、日銀法改正も」
自民党の中川秀直政調会長も13日に京都市内で開かれた自民党府連のパーティーで、日銀の金融政策について「日銀は政策目標での独立性はなく、政権と合致させる責任がある。それが分からなければ日銀法の改正を視野に入れなければいけない」と指摘したが、この背景には竹中総務相の意向が働いたのではないかとも憶測されていた。竹中氏も「日本では中央銀行の独立性が何を意味するのか、非常にあいまいだ。このままにしておくと、日銀法を改正した方がいいという議論が政治の場で出てきうる」と日銀法改正論議の可能性にまで言及したそうであるが、中川氏の発言内容とほぼ一致しており、そういった観測を裏付ける格好ともなった。
今回の竹中発言はこの日発表された10月の全国消費者物価指数(除く生鮮)が予想されたように前年同月比ゼロ%をつけてきたことが影響しているものと思われる。10月のゼロが確認されれば、11月のプラス転換とその後もプラスが継続する可能性が高いためである。まもなく量的緩和解除条件が満たされる可能性が強まったことを受けて総務省は新たな手段を講じてきた。すでに来年8月からの消費者物価指数の改訂において、欧米型のエネルギーを除いた指数にすることを表明していたが、この新型の消費者物価指数を前倒しで発表する方針のようである。今回は現在の総合指数より0.3%程度低くなるとの発表も行われ、これも日銀の量的緩和解除に向けての姿勢に対する牽制であるとも思われる。
さらに今度、自民党は金融調査会(金子一義会長)の下に「金融政策に関する小委員会」を設置し、その小委員長には山本幸三衆議院議員を充てるとも発表している。山本氏はご存知のように2000年のゼロ金利解除の際に、山本氏は国会議員や民間エコノミストと連名で、ゼロ金利解除の強行は政府の政策との整合性を既定した日銀法4条の趣旨に反するとする緊急提言を行っている。インフレターゲットを持論とし、日銀の量的緩和解除に向けての姿勢に強く反対している急先鋒の一人である。日銀と政府との対立はさらに深まっていきそうな雲行きとなってきた。