7月に10年債利回りが0.720%に低下した際の買い手とは
国債投資家別売買高をみると、都銀は超長期を1443億円買い越し、地銀は長期債を1兆250億円買い越していた。また、生保は超長期債を7601億円の買い越しとなっていた。
そのほかの投資家を見ると、信託銀行が4033億円、農林系金融機関が3830億円、第二地銀が2469億円、信用金庫が3562億円など金融機関が総出で買い越していた。信託と農林系は超長期主体、第二地銀と信金は長期債主体の買い越しとなっていた。
海外投資家も5757億円の買い越しとなっていたが、こちらは長期債が3620億円、中期債が2087億円となっていた。
7月の債券先物のチャートを見ると、月初から右肩上がりの相場上昇となっていた。7月23日から25日にかけてつけた144円64銭が今回の上昇相場における高値となった。10年債でみると7月23日から26日にかけて0.720%まで連日買われていたが、やはりこの0.720%で利回りは反転した。
この7月の債券相場の上昇は、欧州の信用不安が燻り続け、欧州の景気悪化懸念もあり、世界経済への影響も危惧され、ドイツや英国、米国を中心に一部の国債利回りが歴史的水準にまで低下したことが大きく影響した。つまり、リスクオフの動きの強まりが背景にあった。それらを材料に金融機関を中心とした国内投資家が積極的に超長期債や長期債を買い進めていたことが、今回の7月の公社債投資家別売買高からも明らかとなった。
その後、債券相場は下落基調となった。これは米債などが調整局面入りし、いわゆるリスクオンの動きに転じたことによる影響も大きかった。それとともに、国内要因として8月に入り、消費増税の行方が不透明になったこと、さらに8月7日の債券先物のシステム障害も加わり、国内投資家も利食い売りやポジションの調整を急いだ可能性がある。このあたり9月20日に発表される8月の公社債投資家別売買高で確認してみたいところである。
ちなみに7月の短期債の売買高をみると、外国人が14兆1707億円もの買い越しとなり、6月の11兆4585億円、5月の11兆6562億円を越える規模の買い越しが続いていた。外国人は昨年10月以降、10兆円を超える短期債の買い越しを継続させている。
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