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4月23日から国債の決済がT+2に移行

 国債取引の決済期間は4月23日(月)の約定分から現行のT+3からT+2に短縮される。つまり、売買約定日から起算して原則3営業日目の日に受渡し・決済を行うことになる。

 国債の決済については関係者以外はあまり意識されていないかもしれないが、国債の売買にあたっては当然ながらその資金の受け渡しは大変重要なものであり、今回のT+2への決済機関の短縮についても、時間をかけて準備されてきた。

 ちなみにT+2のTとは「Trade date」のことで証券の売買が成約された日、つまり約定日を意味する。慣行上、T+1は「ティ・プラスいち」、T+3は「ティ・プラスさん」といった呼び方をしている。

 国債の決済に関しては、1995年時点ですでにアメリカ、イギリスなどは約定日から起算して2営業日目(T+1)、つまり翌日決済を行っていた。日本でも1996年9月19日の売買分より、約定日から起算して8営業日目(T+7)に決済を行うローリング決済に移行し、1997年4月21日売買分からは約定日から起算して4営業日目(T+3)に決済を行うことになった。そして、2012年4月23日約定分からは3営業日目(T+2)に決済を行う予定である。1日短縮するのに15年の月日を要したことになる。

 これは、すでに日本では証券と資金の振替が同時に行われる決済方式であるDVP決済が1994年に導入され、2001年からは国債決済にRTGS(即時グロス決済)が導入され、さらに2005年5月からは日本国債清算機関の業務が開始されるなど、現在のT+3でもシステマティックリスクなどの国債の決済に対してのリスクはかなり軽減されていたためでもある。

 しかし、それでも国債など金融商品の決済期間の短縮は、未決済残高を減少させ、結果として決済リスクを削減するための有力な手段となる。たとえば急激な相場変動が起きた際にも決済不履行などの事故が生じる決済リスクを軽減させられる。このため、T+2への移行が準備されたものと思われる。

 現状ではT+2への移行について、特に大きな障害が発生することは考えづらい。事前準備も進められており、レポ市場などでは1日減る分、忙しくなる可能性はあるものの、大きな混乱が起きることは考えづらい。

 ちなみに、国債の決済は1988年に稼働した日銀ネットを通じて行われている。金融機関同士が行う資金取引の決済や国債など証券取引の代金の決済や、民間決済システムの最終的な決済に、日銀の当座預金での振替が利用されている。日銀が金融機関との間で行っているオペレーションや貸出し、国庫金の受払い、国債の発行・償還に伴う資金の受払いなどについても、日銀の当座預金を介して決済が行われている。


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by nihonkokusai | 2012-04-20 14:24 | 債券市場
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