2月の日銀の追加緩和による債券市場への影響
日銀は2月14日に追加緩和を実施しており、資産買入等の基金をこれまでの55兆円程度から65兆円程度に10兆円増額し、その増額対象は長期国債(期間1~2年)とすることを決定した。しかし、すでに中期債の利回りはかなり低水準にあったことで、都市銀行はそれよりもやや期間の長い国債主体に買いを入れてきたものと思われる。
地方銀行は差し引きではあまり動きはなく、都市銀行と同様に中期国債もそれほど大きく増加させていない。これに対して信託銀行は差し引きで7975億円の買越しとなっており、国債の売買から見ると中期債3908億円、超長期債を1344億円、長期債1413億円と中期債主体であった。しかし、金額そのものはそれほど大きくはなかった。農林系金融機関は6904億円の買越しとなり、この月も超長期国債を5799億円買越しており、中長期債はあまり変化はなかった。
生損保は7122億円の買越し。こちらも農林系金融機関同様に超長期国債を5920億円の買越しに。1月の生損保による超長期債の購入額が大きく落ち込んでいたが、2月はやや回復している。
そして海外投資家は5374億円の買越しに。国債でみると中期債を6245億円買越しているが、1月の4715億円の買越し額と比べて極端に大きくなっているわけではなく、海外投資家は引き続き淡々と中短期債を購入しているようである。
このように公社債投資家別の売買高を見る限り、2月14日の日銀による追加緩和の影響は限定的であったとみられ、都市銀行がやや長めの国債を少し購入した程度であった。日銀の追加緩和はむしろ円安や株高の動きを加速させることとなり、それは3月13日あたりからの債券の大幅調整を招く要因のひとつとなった。ただし、3月の債券相場の調整の要因としては米債相場の下落が大きかったのも確かである。この相場の調整過程での投資家の押し目買い動向を探る意味でも、来月に発表される3月の公社債投資家別売買高も注目したい。
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