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牛熊ゼミナール金融の歴史第20回 日本における紙幣の誕生

 日本における現存する最古の紙幣は、1610年に伊勢の山田において、支払いを約束する預り証の形式をとって発行された山田羽書(はがき)です。伊勢神宮に仕える有力商人が、高い信用力と宗教的権威を背景に、釣銭などの煩わしさを少なくするために発行された紙幣であり、額面金額も銀1匁以下の小額となっていました。形や文様が統一されたことで、不特定多数の人々に交換手段として利用が可能なように作られており「紙幣」として利用されたのです。

 ちなみに、世界で最古の紙幣は10世紀に中国四川省で送金手形を利用する際に発行された証明書(預り証)ですが、日本はこれに次いで世界で二番目に古く紙幣を発行していたことになります。

 その後、私札は伊勢国、大和国、摂津国など近畿地方を中心に、有力商人がその「信用力」を元に発行し、室町時代末期から江戸時代初期にかけて約60年の間、流通しました。こうした私札に目をつけた各藩が発行したのが「藩札」と呼ばれる紙幣です。藩札の最初は1630年に始まった備後の福山版のものと言われていますが現物は残っておらず。現存するものとしては1661年の福井藩の札が最古のものとなっています。私札も藩札も江戸時代後期まで、ほとんど銀立の額面で発行されていますが、これは西日本では銀が経済の主流であったことが要因です。

 紙幣については乱脈な発行によるインフレへの懸念とともに、偽札の問題が生じます。世界で最初に紙幣を発行した中国では、偽札防止のため細かな文字や文様などを組み合わせ簡単には真似のできない工夫がされていましたが、日本の藩札も同様に色刷りや透かしなどが実用化されていました。1856年に浜松藩が出した銀札にはオランダ語を入れるなどの工夫も行っていたのです。


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by nihonkokusai | 2011-10-26 19:07
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