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23日のEU首脳会議で欧州の信用不安は払拭できるのか

 欧州連合(EU)は現在27か国で構成されているが、ユーロ圏と呼ばれるものはユーロを通貨として採用しているEU加盟国によって構成されており、それは現在17か国となる。23日に開かれるのは、正確にはEU首脳会議とユーロ圏首脳会議である。

 現在、ユーロ圏を構成しているのは、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、ギリシャ、オーストリア、ポルトガル、フィンランド、アイルランド、スロバキア、スロベニア、ルクセンブルク、キプロス、マルタ、エストニアである。

 ちなみに欧州金融安定基金(EFSF)とは、ユーロ圏諸国の資金支援を目的とした基金であり、ユーロ加盟国が株主になっているため拡充案の批准にはこの17か国の議会の承認が必要となったのである。

 EFSFの債券発行には、ECBへの払込資本金の割合に応じて決められたユーロ圏諸国の保証を受けているが、EFSF債がAAAの格付を得るためには、EFSF全体の保証枠のうち、AAA国の拠出分が融資可能額となる。このため、当初の保証枠の4400億ユーロでは2500億ユーロしか利用できなかったため、保証枠を7800億ユーロ程度に拡大させることで、4400億ユーロまで融資可能額を引き上げられることになる。

 このため、もしフランスの格付けがAAAを下回ることになれば、4400億ユーロの融資可能額が引き下げられ、その分、ドイツなどAAA国の負担が増加する懸念が出るなどすることで、フランスの格付けの行方が注目視されているのである。

 18日に英ガーディアン紙はフランスとドイツがEFSFの規模を、現在の4400億ユーロから2兆ユーロに拡大することで合意し、23日に開かれるEU首脳会議で、この案が承認される見通したと伝えた。ユーロ圏関係者からは否定的な発言もあったようだが、フランスの格付け見通しが変更される可能性も出てきたことから、さらなるEFSF拡大策が決定される可能性もないとは言えない。

 ただし、EFSF拡大策については懸念も出てきている。19日にフランスのサルコジ大統領、ドイツのメルケル首相らがユーロ圏債務危機について協議。その会合にはトリシェECB総裁、IMFのラガルド専務理事、ドラギ次期ECB総裁、欧州連合のファンロンパイ大統領、欧州委員会のバローゾ委員長、独仏の財務相も参加したと伝えられた。この会合はどうやら、トリシェECB総裁への慰労会が目的であったようだが、そこで独仏の意見対立が表面化したようである。フランスのバロワン財務相によれば、ECBとドイツがECBのバランスシート利用に反対したようである。

 また、23日のEU首脳会議では、ギリシャ債務のヘアカット率についての協議も行なわれる可能性がある。ドイツのショイブレ財務相は大幅削減をせざるを得ないとの見方を示しており、フランスのバロワン財務相も以前には慎重姿勢ともいえる発言があったが、最近ではさらなる削減が必要との発言もみられた。

 ユーロ圏内の金融機関に対しては、デクシアの破綻もあり、厳格なストレステストの再実施と、資本増強が不可欠とされる。しかし、公的資金投入となれば日本の不良債権処理の際のように、金融機関側の反発が強まることも考えられるとともに、各国財政への影響も出てくることも予想される。このあたりの協議の行方にも注目したい。

 23日のEU首脳会議に向けては、ギリシャのベニゼロス財務相からは、首脳会議の結果に期待するのは、ほどほどにすべきだとの発言があり、また、ドイツのメルケル首相も、一度の会議で終わらせられるものではないとしたものの、23日の会議では重要な決定がなされるとの発言もあった。

 23日に開かれるEU首脳会議とユーロ圏首脳会議においては、意見の修正が図られれば、ある程度踏み込んだ政策が決定される可能性もある。それが根本的な解決策とはならずとも、決定内容によっては市場の欧州への債務不安を多少なり緩和させることも可能なのかもしれない。しかし、あまり過度の期待も禁物のようである。


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by nihonkokusai | 2011-10-20 08:47 | Comments(0)
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