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不良債権問題に対する日本政府の対応を振り返る

 欧州の債務問題による域内銀行への影響が問題視されているが、今後の展開を見る上で、リーマンショックの際の米国政府の対応とともに、1997年以降の不良債権問題に対する日本政府の対応も、良し悪しはさておき、大きな事例研究となりうる。今回は当時の状況を振り返ってみたい。

 1997年11月に金融システム不安が一気に表面化し、3日に三洋証券が会社更正法適用を申請、17日には都銀の北海道拓殖銀行が経営破綻し北洋銀行への営業譲渡を発表した。24日には証券大手の山一證券が自主廃業を届け出、26日には徳陽シティ銀行が分割譲渡と金融機関が相次いで破綻した。これは企業や金融機関のバランスシート調整が想像以上に遅れていたことを示していた。

 三洋証券の破綻の際に、コール市場での小規模なデフォルトが発生したが、これが他の金融機関破綻の引き金となった。信用リスクと流動性リスクの増大により、金融システム不安が一気に高まった。

 1998年2月に30兆円の公的資金枠を設けた金融システム安定化2法(改正預金保険法、金融機能安定化緊急措置法)が成立。改正預金保険法では預金の全額保護のため預金保険機構に7兆円の国債を交付し、10兆円までの借り入れに政府保証をつけることになった。金融機能安定化緊急措置法では、金融機関の自己資本増強のため13兆円の公的資金を注入、これには金融機関が健全化計画を作成し、優先株などの買い取りを申請し、それを預金保険機構が買い取ることで公的資金を注入する。しかし、銀行はこの申請を躊躇した結果、大手18行で合計1兆7456億円の注入に止まった。

 4月からは早期是正処置に伴い金融機関の自己資本が強化された。また、金融ビックバンがスタートするとともに、日銀法が改正され新日銀法が施行された。

 6月に政府は大蔵省から民間金融機関等の検査・監督を分離し金融監督庁を設置して金融機関の経営監視を強化すること等で金融システムの安定化を図った。しかし、大手金融機関に対しての不安はむしろ強まり、株式市場では日本長期信用銀行の株価がすでに額面を割り込み経営危機に陥った。

 7月に橋本首相が参院選で自民党は惨敗したことから退陣し、小渕新内閣がスタートし、臨時国会において不良債権処理をめざす金融再生トータルプラン関連法案の審議が行なわれた。結局は野党案に譲歩し、9月に長銀を金融再生法に基づく新たな破綻処理の仕組みである特別公的管理とすることで与野党が合意。

 10月に延長臨時国会で10月に「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(いわゆる金融再生法)と「金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律」(いわゆる金融早期健全化法)が成立しました。金融再生法に基づき同日、長銀の一時国有化が決定した。

 不良債権処理問題を先送りしてきた結果、破綻処理による国民負担は結果しては10兆円規模に達した。巨額の不良債権処理で資本不足に陥った銀行による貸し渋りが深刻化し、さらに破綻処理だけでなく大手銀行への公的資金による資本注入にも踏み切ることになったのである。

 北海道拓殖銀行の破たんを受けて成立し施行された金融早期健全化法により、金融機関に対する資本注入は優先株や劣後債を引き受けることによる増資という形で行なわれ、1999年3月に32の大手銀行や地方銀行に、優先株引き受けなどで総額8.6兆円の公的資金が資本注入された。これにより金融機関のリスク許容度が改善した。

 2003年5月に預金保険法102条に基づき、金融危機対応会議を経て、金融機関への特別融資というかたちで、自己資本不足が明らかとなった、りそな銀行に約2兆円を資本注入することとなり、その結果、資本注入額は最終的に総額12.4兆円にのぼったのである。


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by nihonkokusai | 2011-10-19 11:25 | 国内情勢 | Comments(0)
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