「日銀はバーナンキ氏指名を意識していたのか」
「仮に米FRBの次期議長が、もしインフレ目標政策を導入した際には、世界の主な中銀が採用したこととなり、将来、日銀としてもその導入の検討をする可能性は否定できないことも確かではある。」
次期FRB議長がバーナンキ氏に指名されたが、バーナンキ氏の持論でもあるインフレ目標政策を導入する可能性は否定できない。もちろん、そのためには多くの壁があることも事実である。議会の承認も必要となるであろうし、それ以前にFOMCメンバーでインフレ目標導入賛成派が多数になる必要がある。また当初は、市場へのあらぬ混乱を避ける上でも前任のグリーンスパン議長の方針を世襲してくる可能性が高い。
しかし、それでも持論をいずれ展開してくる可能性がないわけできなく、日銀としてもFRBがインフレ目標政策を取ってくる可能性もある程度は意識せざるを得ない。
あまり勘繰ってもいけないが、先日はグリーンスパン議長を福井総裁は日本にも呼んでいる。この際にも、次期議長についても何がしかの話もあってしかるべきではなかったかとも思われる。もちろん次期議長を決めるのは米大統領ではあるが。
バーナンキ氏が議会で承認されれば、次期FRB議長に就任するのは来年2月1日と予定されている。また、就任後の新議長を迎えてのFOMC は3月28日に開催される。ここにきて日銀は、早ければ今年度中にも量的緩和解除の3つの条件が整うといった見方もしている。3月決算はあまり意識していないといった声も日銀内部にはあるようにも聞いている。このため解除については、4月末が本命とも見られるものの2月あたりの解除の可能性もないとは言えない。
「来年1~3月内での量的緩和解除の可能性もあらためて出てきている。たとえ今年10月のCPIからゼロ以上となったとしても、3か月分のコアCPIを確認できるのは1月27日であり、確認後の決定会合は2月8・9日となる」(9月末拙著レポートより)
日銀の量的緩和解除に向けての動きは当然ながら、景気や物価動向を睨んで3つの条件が満たされることを前提にしている。しかし、ここにきて解除に向けての姿勢を強めていること自体、地ならし的なものを指摘する声もあるが、多少なりとも米FRB新議長就任時期といったものも意識されていた可能性もあるのではなかろうか。