「朝日新聞一面に、量的緩和を来春にも解除との記事」
それにも関わらずその内容にはあまり新鮮さはない。すでに今月末発表される展望リポートにおいて、2006年度のCPIの見通しについても0.3%の上昇から0.1か0.2ポイント程度引き上げる方向で検討するとは日経新聞などで報じられており、これはスクープといったものにはならない。「(CPIは)年末にかけてゼロ%ないし若干のプラスに転じる」との見方も、すでに会見などで福井総裁は繰り返し述べているものである。
もし何がしかのスクープのようなものが含まれるとすれば、政府の見方であろうか。量的緩和解除のための3条件を達成すれば、解除に対する政府の反対は少ないとの「見方もある」としている。3つめの条件を確認する上では来年3月の日銀短観の結果が出る来年4月ごろの解除が有力であるとしている。もちろん来年4月末の可能性というのはマーケットではコンセンサスにすでになりつつはあるが。
そして「政府内では景気回復を前提に財政再建路線を強める動きがあり」とも指摘している。小泉首相の在任中に脱デフレ宣言はしたい意向も強いことも確かであろう。最近になって、日銀に向けての竹中氏のトーンがややダウンしているという印象を個人的に持っていたが、今回の朝日の記事はこういった微妙な政府の日銀の姿勢への対応の変化を示しているとも取れるのではないかとも考えられる。
あまり穿った見方も禁物であり、日銀の記事でやや乗り遅れたとみた朝日がここにきてトップに持ってきたといった解釈もあるかもしれない。ネットへのアップの遅れも別途事情があってのものの可能性もあるため、あくまで個人的にこの記事がやや気になったというも付け加えておきたい。