CPI基準年改定による影響は大きなものに
しかし、消費者物価指数(除く生鮮)の見込みについては、大きな修正はないとみられる。4月時点での消費者物価指数(除く生鮮)は前年比プラス0.7%の見込みである。ただし、これは現行の2005年基準の指数をベースにしている数値である。
来月8月26日に発表される7月の全国消費者物価指数からは、基準年が現行の2005年から2010年に改定される。前回の2000年から2005年の改定の際と同様に0.5%近辺下方修正されるのではないかとみられていたが、その修正幅が大きくなる可能性が出てきた。
先週7月8日に、総務省は「平成22基準 消費者物価指数ウエイト」を発表したが、これによるとエコポイントや地デジ化にともない販売額が伸び、さらに価格低下の大きな液晶テレビの影響が大きくなるため、当初想定されていた0.5%近辺のマイナス修正が、0.8%近辺のマイナス修正となる可能性が強まった。
そうなれば展望レポートのCPI予測が基準年の変更による要因を含まずにプラス0.7%となっているだけに、マイナス0.8%近辺の修正が入れば結局、マイナス圏となる可能性がある。
基準年の変更によるマイナスは、エコポイントなどの特殊要因も絡んだものであり、これを持ってデフレからの脱却が余計困難になると結論づけるわけにはいかないものの、なかなか物価が上昇しにくい環境が続いていることは明らかである。
日銀は4月の展望レポートの際には、「中長期的な物価安定の理解」に基づいて物価の安定が展望できる情勢になったと判断されるにはなお時間を要するとしているが、基準年の変更によりさらに時間が必要となる可能性が高まる。
つまり、それは現在のゼロ金利政策を続ける時間軸をさらに長期化させることとなり、これは長期金利にとり低位安定させるひとつの要因とはなろう。
もちろん、現在の物価を取り巻く環境に大きく変化が生じないとの前提の上での見方であり、今後、資源価格の高騰といった状況などが発生すれば状況が変わる可能性はある。
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