2010年度末の国の借金は924兆円
この財政法第28条に基づき、国債及び借入金の状況に関する残高を算出したものが、「国債及び借入金残高」である。
この集計は国による債務、つまり国債と借入金(交付税特会借入金を含む)残高となる。2010年度末では、普通国債(636兆円)と借入金等(55兆円)に、財投債(118兆円)、その他国債(4兆円)に政府短期証券(111兆円)が加わり、合計924兆円となる。ここには地方債務(地方債及び交付税特会借入金以外の借入金等)は含まれていない。
5月11日付の日経新聞によると2011年度第一次補正予算後の財務省見通しでは、2011年度末の「国債及び借入金残高」は1002兆円になるそうである。
参考までに日銀の資金循環統計(速報)によると、2010年12月末の家計の金融資産は1489兆円、また金融資産・負債の差額は1129兆円となっている。
国の借金の残高は増加し続け、5年間で100兆円増加となっており、ここにきてその増加のペースが早まりつつある。第二次補正予算では国債の増発も予想されており、2011年度末の残高は1002兆円よりもさらに増加する可能性がある。さらに、その債務を支えている家計の金融資産の増加はすでに頭打ちとなっている。
今回の震災に伴う復興のための財源としての国債増発は致し方ないところではあるが、リーマン・ショックによる金融経済ショックに続いて、震災により債務増加のピッチが早まってしまっていることには注意しなければならない。
少なくとも来年度以降は債務残高の増加ペースを落としておかないと、日本国債を国内資金で賄えられるという状況が危ぶまれる日が徐々に前倒しされる懸念がある。一度、この臨界点が意識されてしまうと、現在のギリシャ国債のように市場から見放され、金利の急騰を招き、取り返しのつかない事態となることが想定されるためである。
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