公的年金や郵政の国債運用が縮小している
日経によると郵政グループが保有する日本国債の残高は2007年度の227兆円弱と、国の発行残高の33%にも達していた。しかし、2008年度からは保有額が減少に転じており、今年度になり減少ペースが加速し、国債発行残高に占める割合は28%台に低下した。これは資金が大手銀行などに流出したことが大きな要因であった。また、一部資産を外債などリスク資産に振り向けたことも要因であった。
さらに年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の三谷隆博理事長が、ブルームバーグ・ニュースのインタビューで、新年度の国内債の運用について「ネットで売り手になるだろう」と発言したことも伝えられた。
ブルムバーグによると、GPIFは2001年の発足以来、日本国債の最大の買い手だったが、年金特会の資金不足に対応して、20110年2月に国内債券1800億円を売却したのを皮切りに運用資産の売却も始めて、2010年度は国内債券などで約4兆円を現金化した。ちなみに、2010年9月末のGPIF運用資産額は118兆円であり、内訳は国内債券が82兆3966億円で70.04%、国内株式が12兆6145億円で10.72%、外国債券が9兆5981億円で8.16%、外国株式が11兆4634億円で9.74%となっている。
日本国債はその95%を国内資金で賄われている。その中でもゆうちょ銀行、かんぽ生命、そしてGPIFによる保有額は大きな割合を占めていた。しかし、その国債保有額がどうやら頭打ちになってきたことが伺える。しかも、新規国債発行額は来年度以降も50兆円規模で発行され続ける見込みにも関わらずである。
現在のところゆうちょ銀行とかんぽ生命からの資金の流出先である銀行預金が増加していることや、企業への貸し出しが伸びないことなどで、銀行などにより国債残高の増加分が賄われている状況にある。つまり多少でも景気が回復し、企業が借入を増やすなどした際には、新たに国債を買い入れる原資そのものが枯渇する懸念がある。
これまでは預貯金、生保、年金資金の伸びにより、増え続けてきた国債残高は国内資金で賄えられていた。しかし、その買いの大手であるゆうちょ銀行、かんぽ生命、GPIFの国債保有額が頭打ちになってきているという事実は、国債を国内資金で賄えるには限界が近づいてきていることを示すものでもある。
これを見ても新規国債の発行額を早期に抑制しなければ、いずれ国内資金で国債が賄われなくなるという事態が必ずやってくる。財政再建はやはり急ぐ必要がある。
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