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日本国債が暴落した場合の対応策とは

 9日に自民党でXデ―プロジェクト会合というのもあり、それについては9日の「牛さん熊さんの本日の債券」(メルマガで配信中)で次のように触れた。

熊「今日は自民党でXデ―プロジェクト会合というのもあった」
牛「主題歌は、中島みゆきさんの地上の星やな」
熊「そっちではなくて、日本国債が暴落するというXデ―に備えた会合だそうだ」
牛「備えると言っても、実際に日本国債が財政悪化で暴落して止められるものなのか」
熊「今回は財務省の主計局、理財局の担当者から日本の財政や国債市場に関する報告を受けたそうだ」
牛「そもそもどういった下げを想定しているのか、それにはかなり債券に関する専門知識も必要やろ」
熊「そういった下落を想定する以前に、それを起こさせないようにするのが政治家の役目のはず」

 今回のXデ―プロジェクト会合にはかなり違和感を覚えた。政治家が今頃になって、何ゆえに「日本国債が暴落した場合の対応策を協議」するのか。こんな日本の債務状態にしたのは誰の責任なのか、まずそのあたりから検証すべきであろう。

 このような状況に追い込まれたら最悪の事態も想定しなくてはいけないとの理由もわからなくはないが、残念ながら市場に対しての知識もなしに対処療法などを検討してもまったく意味はない。

 日本国債は過去何度か大きな相場下落を経験している。戦後で見ても1980年の利率6.1%の国債が12%近くまで利回りが上昇した「ロクイチ国の暴落」があり、1985年の債券先物の上場直後にはプラザ合意に伴う日銀による短期金利の高め誘導をきっかけに、債券先物に売りが殺到し売り気配のまま2日間値がつかないという急落もあった。

 また、債券市場でのディーリング相場の全盛期に買われた89回国債が1987年に2.55%をつけてからの急落は私も市場参加者として経験した。これはタテホ化学工業が債券先物で286億円もの損失を出したことをきっかけに債券相場が急落した「タテホ・ショック」を招き、9月3日から5日までの3日間で、89回債は1%あまりも上昇したのである。

 そして1998年には有名な(債券市場参加者限定で?)「資金運用部ショック」がある。国債の引き受け手として大きな存在であった大蔵省(当時)の資金運用部が国債の引き受けを急減させるとの報道をきっかけに、1998年10月に0.7%も割り込んでいた長期金利は1999年2月に2.440%まで上昇したのである。

 運用部ショックによる相場下落は、国債需給を嫌気したものであり、その意味ではこの運用部ショックによる国債暴落は良い事例研究対象にはなりうる。しかし、運用部ショックを経て国債管理政策が急ピッチで進められ、その後の長期金利の大きな抑制要因となっており、すでにかなりの手は打たれている。ちなみにこの国債急落で日銀に押し付けられたのがゼロ金利政策であったが、現在の日銀もゼロ金利政策をとっている状態にある。

 その後2003年に「VARショック」と呼ばれた急落を迎えたものの、これは銀行のリスク管理手法に問題があったことが影響し、10年債利回りが0.430%にまで低下してしまった反動によるものであった。

 このように過去には国債価格の急落は何度かあったものの、自民党のXデ―で想定される下落は過去に経験のあるものではない。しいて言えば運用部ショックによる相場下落が多少参考になる程度である。もしも日本国債が国内資金で賄えなくなった場合の市場の反応については想定することも難しい上に、はっきり言えば対処のしようがない。海外保有の比率を高めるのは困難であり、その結果、運用部ショックの際にも検討された日銀による国債の直接引き受けが議論されよう。それが実施された際には、のちほど大きな副作用が待っている。

 このような国債暴落に至らせないための注意喚起も意識してのXデ―プロジェクトなのかもしれないが、そんなことをするよりもその暴落を防ぐため、国会議員が必死に努力すべきではないのか。


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by nihonkokusai | 2011-02-11 08:59 | Comments(0)
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