個人向け国債の償還金の行方
この償還金を目当てにして、銀行は低リスク型の投資信託、生命保険会社は新たな一時払い終身保険の販売などを始めたそうである(18日付日経新聞朝刊)。 ただし、個人向け国債の購入者は比較的年齢層が高く、かなりの安全志向であることが知られている。国債に比べてリスクのある投資信託などに向かう資金は一部ではなかろうかと思う。
かといって最近の個人向け国債の販売状況を見ると、例えば昨年10月発行分で3年固定物(利率0.11%)が308億円、5年固定物(利率0.23%)が403億円、10年変動物(初期利子0.25%)が155億円しかない。最近の個人向け国債の販売額の低迷は、国債への信認が薄れたためとかではなく、あくまで利率の低さが影響している。これは個人向け国債の販売額と利率の推移を見ても明らかである。
となれば、今月募集している個人向け国債も昨年10月に比べて多少条件が良くなったとは言え、3年物の利率が0.21%、5年物が0.37%、10年物が0.39%(初期利子)しかないため、やはり利率の低さが嫌気されて乗換も多くは期待できない。その多くは比較的安全性の高い預貯金に流れる可能性がある。預貯金にいったん置いて、また国債の利回りが上昇してから購入する可能性もある。
また、今年7月からは10年変動の利子の決定方法がこれまでの「基準金利マイナス0.8%」から「基準金利×0.66%」に変更され、来年の4月からは5年固定の発行から2年間は中途換金できないルールが改められ発行後1年経過すれば換金できるようになる。ただし、このような個人向け国債の商品性の改善についても、結局はある程度の利子がつかないと、販売額を大きく伸ばすことは難しいとみられるが、購入しやすくなることは確かであろう。
しかし、国債が日本の金融資産の中で最も安全なものであることは確かである。だからこそ利率が低くなっている面もある。また、通常の国債にある価格変動リスクは個人向け国債は極力抑えられている。利率だけでなくこのあたりも見直されれば、ある程度の乗換も出てくるのではなかろうか。
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