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与謝野経済財政相の意味

 経財相や財務相を歴任した与謝野氏は自民党を飛び出した。その後、結成した新党については、なかなか立ち上がるのがたいへんそうな新党に思えたが、与謝野氏は結局、その新党とも袂を分かち、なんと政敵であったはずの民主党政権の閣僚(経済財政相)に抜擢されるそうである。

 参考までに与謝野氏には「民主党が日本経済を破壊する 」(文春新書) という著書がある。タイトルについてはご本人が決められたものではない可能性があるが(拙著の文春新書の「日本国債は危なくない」はそうであった)、今思うとなかなかインパクトあるタイトルである。

 それはさておき、今回の人事に対しては民主党にとりねじれを解消するため、一人でも良いから引き入れたいのか、と勘ぐってしまいそうだが、目的はどうやらそれだけではなさそうである。

 さらに閣内には与謝野氏と同じ選挙区でのライバル海江田氏もいる。与謝野氏の起用については民主党内部からの批判などもあるとみられ、また党外からも批判が出てこよう。しかし、それを承知で起用する以上、何かしら目的があることも確かなのではなかろうか。

 これには、日本の財政再建に残された時間がわずかであるとの危機意識が現政権に強まっていることが大きな理由ではないかと思われる。それはこれまでの菅総理や仙谷官房長官(党代表代行に就任予定)や野田財務相(留任予定)の発言などからも明らかである。

 菅直人首相は、消費税を含む税制と社会保障制度の改革に「政治生命をかける」との決意表明をしている。仙谷官房長官も会見で「日本の財政は断崖絶壁のところに来ている」と発言した。また、野田財務相も昨年就任後の初会見では「国家財政の状況は、第二次世界大戦で敗れ、産業も国民生活もぼろぼろになった1946年と類似した構造である」との認識を示している。それぞれ日本の財政に対してかなりの危機意識を示していた。

 今回の改造内閣には民主党の藤井裕久元財務相にも相談を持ちかけていたようであるが、藤井氏も民主党きっての財政再建論者である。

 このように内外からの批判を承知の上での与謝野氏の経済財政相への起用は現政権の財政に向けての危機感の現れとも言えよう。もちろん政治の世界なだけにいろいろな思惑も絡んでいることもあるかもしれないが。

 とにかく長期金利が低位安定しているうちに財政再建を進めておかないと、財政への懸念により長期金利が跳ね上がり出してからでは対応が困難となりかねない。しかも、国内資金で国債がカバーできるという状況に、残された時間には限りがある。そのあたりやっと民主党政権も真剣に考えてきているのではなかろうか。そう期待し、そしてそれを実行してほしいと願いたい。

 国の財政に絡んでは拙著「最新国債の基本とカラクリがよーくわかる本」(秀和システム)なども参考にしていただけるとうれしい。



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by nihonkokusai | 2011-01-15 08:28 | Comments(0)
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