「国債整理基金特別会計の積立金の活用法」
先月開かれた行政刷新会議の事業仕分け第3弾では、積立金制度の維持を判定する一方で、積み立て基準を見直し、一部を国債償還に充てるべきだとの意見が相次いだ。国債整理基金特別会計での積立金は2009年度末で12.5兆円規模となっている。
この中で評価者のコメントとして「オペレーショナルなリスクに十分配慮しつつ、資金が一時的に滞留する場合には、一層の信認向上のため、繰上償還に充てることも検討する(一般会計に繰り入れることは厳に慎む)」との意見も出されていた。
また「不測のリスクに備える部分を除いた積立金の一部は、国債償還にまわせるのではないか。その方が財政規律を重んじて国債の信用を高めることにつながる。積立金が一定規模を超えると埋蔵金として目をつけられてしまう。」との意見も出ていた。
今回、財務省からは、過去の実績を基に9兆円から10兆円程度の積立金の規模は確保したいと説明があったようである。2010年末の積立金は14兆円程度が見込まれるため、差引で最大4兆円程度を償還財源に充てることができる計算となる。積立金の活用は法改正が必要なく、緊急時には今年度中にも取り崩すことが可能。もしこれが実施されれば来年度の借換債の発行額を最大4兆円規模で抑えられることが可能となる。
政府は来年度の国債発行額を今年度並の44兆円規模に抑えることを目標に掲げているが、そのためには新たな埋蔵金の発掘も必要となるとみられている。このため、この積立金の活用分は埋蔵金として目をつけられる可能性ないとは言えず心配な面もある。
事業仕分けの際には、この積立金を埋蔵金として使うことは厳に慎むとの意見も付言され、財務省からも、積立金による国債発行の減債制度が財政規律を確保するための重要な柱になっているとの説明があった。