「来年度の国債発行計画について」
「来年度の発行計画について、現時点で判明している状況を説明すると次のとおり。発行根拠法別発行額としては、新規財源債については本年度と同様の44兆円に抑えるべく現在予算編成作業が進められている。借換債については、買入消却を本年度当初計画と同額の3兆円と置いた場合の財源を含めて、約12兆円増の115兆円で概算要求を行っている。財投債については、概算要求では本年度と同額の15.5兆円となっているが、来年度財投計画における財政融資の規模、財投償還金及び財融回収金、預託金の見通し等によって決まってくるため、現時点ではまだ何とも言えない。」
「一方、本年度中の来年度からの前倒債の発行見通しについては、まず増額要因として、昨年度の新規財源債のうち出納整理期間発行分が減額となったことや財投債の不用分の影響、さらに本年度に入ってからの第Ⅱ非価格競争の上ぶれ分がある。減少要因である個人向け国債等の減少分と15年変動債と物価連動債の発行仮置き分を差し引いても、現時点では10兆円程度に積み上がる見込みとなっている。したがって、来年度は前倒債の発行減額によって市中発行額をある程度抑制することも可能と考えられる。」
「なお、先般行われた特別会計の事業仕分けにより、国債整理基金残高を活用した繰上償還を検討することになっており、具体的なことは現在検討中であるが、仮にこれを実施して買入消却を行う場合、借換債発行額の減額要因となる可能性もあると考える。」
ひとつずつ整理してみたい。まず、新規財源債については政府は今年度並に抑えるとの目標を掲げており、多少、無理してでも抑えてくる可能性があり、44兆円と置く。財投債については不透明要因は残るが現時点では今年度と同様の15.5兆円とする。そして、借換債については概算要求時点で115兆円となっている。
国会に提出された今年度補正予算案の中の特別会計の予算総則に関する補正で、国債の前倒し債の限度額が当初の12兆円から20兆円に引き上げられたが、この前倒し債の発行については、差引で10兆円規模が想定される。その分、来年度のカレンダーベースでの国債発行額の抑制が可能となる。
また、国債整理基金残高を活用した繰上償還がもし実現すれば、それは最大4兆円規模での借換債の減額要因ともなる。
参考までに今年度の当初予算での国債発行予定額は、新規財源債が44.3兆円、借換債が102.6兆円、財投債が15.5兆円で合計162.4兆円となっている。そしてカレンダーベースでの市中発行額は144.3兆円である。
議事要旨による出席者のコメントからは、カレンダーベース市中発行増額は3.6兆円程度と想定している向きが多いようである。増額する年限としては30年、40年とするとの意見がほとんどのようで、ある程度、年限に関してのコンセンサスは固まっているように思われる。また、流動性供給入札に関して減額を希望する声も強まりつつあるようである。