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「はやぶさと日本国債」

小惑星探査機「はやぶさ」の前人未到の快挙については言うまでもない。もちろん人ではないため前人未到との表現はおかしいかもしれなが、目的を遂げて健気に必死に地球に戻ってきた姿はまさに機械に魂が存在していたかのような錯覚すら覚えた。

それはさておき、「はやぶさ」の持ち帰ったサンプルが小惑星「いとかわ」のものであるとの発表に関しては、読売新聞などが事業仕分けのタイミングを計ってのものかとの観測も記事にしている。「はやぶさ」を葵のご紋の入った印籠のごとく使おうとした可能性は否定できないかもしれないが、それでも日本の基礎技術の育成に関しての費用削減については、今後の日本の経済成長のためにも再考する必要があると思う。

その事業仕分けの目的はもちろん歳出削減である。膨大に膨れ上がった日本の政府債務に対して、今後その積み上げを少しでも軽減し、いずれ債務そのものの削減に取り掛かる必要がある。そのためには増税や歳出削減は必要となろう。もちろん今後の日本経済を支えるようなものは残さなくてはいけないが。

しかし、増税については選挙に影響が出るとのことで政府は二の足を踏んでいる。さらに歳出削減についても、肝心の社会保障費などに踏み込まない限りは、債務削減に効果があるほど金額には到底追いつかないのが実情である。

政府は来年度の新期財源債を今年度の44兆円規模に抑えるというが、その44兆円規模そのものが過去最大級に近い大きさであることを忘れてはならない。

これまでのところ、日本のデフレの長期化とともに、国債への国内需要も依然としてあり、そして財務省の国債管理政策により、長期金利は低位安定し続けている。むしろ低位安定し過ぎるぐらいである。「はやぶさ」で言えば、順調に飛行を続けている状況となっている。しかし、「はやぶさ」が一時コントロールを失ってからの制御はまさに神業的なものであったと同様に、日本の債務残高が意識されて長期金利がコントロールを失うと、その制御もかなり難しいものになりかねない。

「はやぶさ」では、もしものことを想定して事前にいろいろな工夫が施され、それがミッション成功につながった。日本の長期金利のコントロールが失われた際にも、そういった対処は可能であるのであろうか。それよりもコントロールを失う前に、コントロールを失わせる要因そのものを排除しておく必要があろう。もちろんそれは政府債務のコントロールである。

長期金利がコントロールを失うまでの時間はあまり残されているとは思えない。すでに1000兆円近くに膨れ上がっている政府債務残高に対し、毎年40兆や50兆円規模で新期国債が発行されている状況が今後何年間も続けられること自体が、まさに神業だと思われるためである。
by nihonkokusai | 2010-11-18 10:56 | 国債
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