「国債への国民の関心」
その内容は債券関係者ならずとも、ある程度一般に知られているであろうものであった。何ゆえ、戦後初めての国債が発行され、その後、発行され続けているのか。歳出規模の拡大要因が公共事業関係費から社会保障関係費へと移る過程など、当時の映像を織りまぜながらの解説となっていたが、特に目新しいものではなかった。
今回の番組の肝は、財務省(大蔵省)が保管している内部文書(口述録)の存在であった。私も初めてその存在を知った。これを元にしての当時の関係者のインタビューにより、あらたな事実が浮かび上がるのかとの期待もあった。しかし、あまり踏み込んだものとはならず、何かしらブレーキもかかっていたようにも思われた。
日本の債務や国債についての一般の方の関心はあるものの、それを理解するための機会も少ない。少しでも日本の債務や国債の状況をわかりやすく説明する番組は必要であり、その意味では、今回のNHK特集に意味はあったと思われる。
ただし、もう少し踏み込んだ内容となれば、国民の意識そのものを変えることも可能となったのではないかと思う。
日本の財政構造改革がなかなか進まないのは、この国民の本当の意味での危機意識の欠如が要因となっていると思われる。それに対して国の財政を最もよく知る現場からの生の声が伝えられれば、国民の関心を高め、危機意識を強めることもできるのではなかろうか。