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「FRBもインフレターゲットに近づく時間軸の強化を実施か」

10月5日に日銀が決定した包括緩和において最も影響が大きいものは、強力な時間軸効果と思われる。今回、日銀は実質的なゼロ金利に戻したが、この利下げによる効果は限定的である。 それよりも2006年3月まで実施された量的緩和政策の解除条件が消費者物価指数(除く生鮮)が安定的にゼロ%以上となることであったのに対して、今回のゼロ金利政策の解除の条件は「中期的な物価安定の理解」に基づく1%近辺となり、前回よりも解除に向けてのハードルをさらに上げてきたのである。

これは擬似的なインフレターゲット政策ともとれる。白川総裁は包括緩和を導入した5日の会見で、このインフレターゲットについて以下のように発言している。

「(今回の政策について)インフレーション・ターゲティングの長所と呼ばれるものを最大限取りこんだ上で、インフレーション・ターゲティングの短所と言われている、物価以外の要素に対する配慮が行き届かないというところにも十分目配りをした」

15日のボストンでの講演で、FRBのバーナンキ議長は、インフレターゲットに関する具体的な言及は避けたものの、次のような発言をしている。

Committee could consider, if conditions called for it, would be to modify the language of the statement in some way that indicates that the Committee expects to keep the target for the federal funds rate low for longer than markets expect. (FRBのサイトより引用)

これまでのFOMCの声明文には超低金利政策を、長期間に渡って(for an extended period)続けることを表明しているが、その文面を市場の期待以上に強化する考えをバーナンキ議長は示したのである。

さらに、16日のボストンでシカゴ連銀のエバンス総裁は「FRBはインフレが目標を上回るのを当面大目に見ることで、低すぎる水準のインフレを容認できる水準に戻すことが可能になろう」と述べている(WSJネット版より)。

具体的には「安定的な物価上昇率軌道が2%だとして、インフレ率がかなりの期間その水準を下回って推移するならば、安定軌道へ復帰するまでしばらくインフレ率が2%を上回るのを許容する」というもので、これはインフレターゲット導入を視野に入れた発言と言える。

インフレターゲットについては、白川総裁が指摘した短所、つまり「物価や通貨の安定を損ねる危険性」を持ち合わせていることで、バーナンキ議長は具体的な言及は避けたが、エバンス総裁はやや踏み込んだ発言をした。

バーナンキ議長、そしてエバンス総裁の発言からは、11月のFOMCでは市場が期待する国債の買入れとともに、インフレターゲットの長所を織り込むかたちで、時間軸効果をさらに強化する姿勢を示すことが推測される。つまり日銀の包括緩和に近い内容になるのではないかと推測される。日米ともに政策金利を低下させる余地のない中、過去にゼロ金利政策、さらに量的緩和政策を経験してきたいわば先駆者(?)である日銀の政策を、FRBはかなり意識していることは確かであろう。
by nihonkokusai | 2010-10-18 11:13 | 日銀
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