「FRBによる国債買入れの過去とQE2」
FRBによる国債の買入れは、1961年から1965年にツイスト・オペレーションというかたちで行って以来であった。このツイスト・オペとは、長期国債を購入するとともに短期国債を売却することにより、イールドカーブのフラット化を促すというものであった。この際の目的はリセッションと貿易赤字に同時に対応するためであった。金融政策という意味からは、ツイスト・オペは新たな資金が供給されるわけではないため、金融緩和政策とはならない。しかし、昨年2009年3月のFRBによる国債買入れは目的は信用緩和とは言え、結果からみれば追加的な資金供給ともなり、量的緩和とも言える。
ちなみに、それ以前のFRBによる国債買入れは1937年4月に「秩序ある市場を守るという観点から必要であろう」として行われている。(富田俊基氏「財務省・連銀によるアコードの検証」より http://www.nri.co.jp/opinion/chitekishisan/2004/pdf/cs20040108.pdf)
そして、市場では11月のFOMCでFRBによる国債の買入れ再開の可能性を織り込みにきている。この国債の買入れ再開のことをQE2と呼ぶ市場参加者もいる。これはもちろん豪華客船の名前ではなく、「Quantitative Easing 2」、つまり量的緩和策パート2ということである。
それならば、今回の日銀の包括緩和も、QE2もしくはゼロ金利政策パート3と表現しても良いかもしれない。映画ではパート3あたりで打ち止めのものが多いが、果たして続編もあるのかどうか。といったことはさておき、次回のFRBは本当に国債買入れの再開を行ってくるのかどうか。
日銀が予想以上の積極策に出たことで、FRBもこれをかなり意識せざるを得ないはずである。ただし、注目すべき為替レートはむしろ円高ドル安が進行していることを見る限り、日銀のようにできるものを無理やり詰め込むようなことをせず、ある程度市場の要求に応じれば良いとの認識になる可能性もある。
追加緩和については、2009年と同様にあらかじめ国債の購入枠と期間を設定する可能性とともに、購入額を徐々に増加させていく手法が取られる可能性についても指定されている。果たして11月にFRBはどのような結論を導くのか。さらに、その目的を何に置くのか。このあたりに注目してみたい。