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「三度目の長期金利1%割れバブルの崩壊か」

8月25日に長期金利が0.895%をつけたが、今年の4月から続いた債券の上昇相場は債券相場はこれでピークアウトしたとみられる。26日に民主党代表選に小沢前幹事長が出馬と報じられたことで財政拡大が意識され、メガバンクの一角が超長期主体に売りを出したことで相場の地合いは一変した。

27日に10年債利回りは1.015%まで上昇し、25日に1.515%まで買われていた20年債の利回りは1.7%台に上昇した。30日に日銀は臨時の金融政策決定会合を開き新型オペの拡充という追加緩和策を決定したが、債券相場の下落は止まらず、10年債利回りは1.105%と1.1%台に上昇し、20年債の利回りも1.820%に上昇した。

これには27日の米債安も影響しており、米10年債の利回りは前日の2.48%から2.65%と大幅に下落していた。しかし、30日の米債は大幅反発となり10年債利回りは2.53%に低下。これを受けて31日の日本の10年債利回りも0.965%に、20年債利回りも1.655%に急低下した。このあたりまでは米債との連動性も強かったが、その連動性も次第に薄まってきた。

31日の米債は続伸して、米10年債は2.48%に低下したものの、9月1日の日本の債券市場では10年債が1.035%、20年債が1.755%をつけるなどむしろ大幅に下落したのである。これは民主党代表選に小沢氏が正式に出馬を表明したことで、財政への懸念が再び強まったことが要因となったとみられる。3日には流動性供給入札の結果が低調なものとなったことをきっかけにさらに売り込まれ、10年債利回りは1.150%に、20年債利回りも再び1.880%に上昇したのである。

今回の超長期主体の債券相場の急落要因としては、4月からのじりじりとした上昇相場が続き、気がつくと長期金利は過去三度目の1%割れとなった。買い遅れていた投資家が、これまで買っていなかったものの、少しでも利回りを求めて超長期債なども買いに入り、債券相場はまさにバブル相場を形成していた。このバブル崩壊のきっかけは、今回も8月24日の20年国債入札であり、またメガバンクの一角からの売り崩しであった。まさに2003年6月と同様のことが起きていたのである。

さらに9月1日に実施された10年国債の入札(利率1.0%、310回債)は最低落札価格は事前予想を下回り、テールは前回の2銭から10銭に伸び、応札倍率も前回から低下するなど低調なものとなった。この結果を見ても、投資家が慎重姿勢であることが伺えた。

米国経済の減速懸念や円高・株安を背景に日本の債券相場は4月以降、ほぼ一本調子で上昇してきたが、ここにきての超長期債の値動きの荒らさなどから、債券相場は調整局面を迎えるが、その大きな要因は日本の財政悪化への懸念である。

民主党代表選の結果、小沢氏が勝利するとなれば「財源なきバラマキ路線」が復活する懸念がある。小沢氏は財源として国有財産の証券化や無利子非課税国債の導入検討を明らかにしたが、前者はネットでの日本の債務拡大につながりかねないし、後者は数兆円規模の発行は不可能であるなど政策の財源についてはあまりに不透明である。

財政再建を意識している菅総理が勝利するのであれば影響は限定的であろうが、債券市場では小沢リスクをかなり意識しつつある。このため当面の債券市場は売りが出やすい地合いが続き、10年債利回りはあっさりと1.2%台に乗せ、いずれ1.4%近辺にまで上昇する可能性もありうる。上昇相場よりも下落相場の方が当然ながらピッチは早い。
by nihonkokusai | 2010-09-03 15:40 | 債券市場
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