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「景気低迷と円高への対応策と債券相場」

8月12日の東京市場では、ドル円が15年ぶりに85円を割込むなどの円高が進み、政府・日銀は対応に追われた。日経新聞によると12日の正午過ぎにレートチェックを実施した模様である。この日の午後には財務省の玉木財務官と日銀の中曽理事が為替市場についての意見交換を行い、その後夕方には野田財務相が「無秩序な動きは金融経済に悪影響がある」と発言し、白川日銀総裁も「国内経済への影響を注意深くみていく」と発言(日経新聞)し、いわゆる口先介入を行った。

2003年から2004年にかけて政府は積極的な為替介入を行った。しかし現在では、欧米でも自国通貨安を意識していることで、協調介入は考えにくく、単独介入ではその効果も限定的となろう。

10日の決定会合では日銀は動かず、同日のFOMCでの形式的ながらも追加緩和策により、円高ドル安が進行したともみられることで、日銀に追加緩和を求める声もある。これまでも日銀は円高によるプレッシャーを受けて動いたこともあるとみられることで、追加緩和の可能性は否定できない。

さらに、内閣府が16日に発表した4~6月期GDP速報値によると、物価変動の影響を除いた同期の実質GDPは前期比0.1%増となり、前期比プラス0.5%との予想を大きく下回った。特に個人消費は薄型テレビのエコポイント対象商品が3月末に変更されたことなどに伴う駆け込み需要の反動減が出たため、横ばいにとどまった模様である。

この円高や、弱かったGDPを受けて、政府はエコポイント制度の延長などの追加経済対策の検討に入った。追加対策の財源として2010年度予算に計上した「経済危機対応・地域活性化予備費」のうち約9000億円と、2009年度一般会計決算の純剰余金のうち約8000億円の計1兆7000億円程度を使い、国債の増発は避けるとみられる。

今回も政府の追加経済対策に呼応して、日銀も動くことにより、政府・日銀が一丸となって円高・景気対策に望むという図式となりそうである。実質的な効果はさておき、これによるアナウンスメント効果はある程度望めるであろう。ちなみに、10日に開催されたFOMCでは、減速傾向が強まりつつ会った景気の回復をサポートするために、MBSの償還資金による国債への再投資を表明した。これをFRBは追加緩和と称したが、量的緩和策を拡大したわけではなくこれもアナウンスメント効果狙いであった。

米国のみならず日本でもあまり踏み込んだ対応策は財源の問題もあり望みづらい。その中にあって少しでも効果を引き出すための、アナウンスメント効果は必要となろう。ただし、それに反応してしまいがちなのが債券相場である。

日本の10年債利回りは1%を大きく割りこんでおり、米国の10年債利回りも17日に2.5%台にまで低下している。日本の10年債利回の水準は2003年以来であり、2003年の債券相場の状況とも酷似していることで、急落が再び引き起こされる可能性もある。景気低迷と円高への対応策とともに、債券相場の動向についても政府・日銀は注意を払う必要があろう。
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by nihonkokusai | 2010-08-17 08:24 | 景気物価動向 | Comments(0)
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