「円高けん制」
午後には財務省の玉木財務官と日銀の中曽理事が為替市場についての意見交換を行い、その後夕方には野田財務相が「無秩序な動きは金融経済に悪影響がある」と発言し、白川日銀総裁も「国内経済への影響を注意深くみていく」と発言(日経新聞)し、いわゆる口先介入を行った。
2003年から2004年にかけて政府は積極的な為替介入を行った。しかし現在では、欧米でも自国通貨安を意識していることで、協調介入は考えにくく、単独介入ではその効果も限定的となろう。
10日の決定会合では日銀は動かず、同日のFOMCでの形式的ながらも追加緩和策により、円高ドル安が進行したともみられることで、日銀に追加緩和を求める声もある。これまでも日銀は円高によるプレッシャーを受けて動いたこともあるとみられることで、臨時の会合開催の可能性は否定できない。
しかし、12日のニューヨーク外為市場ではドルが円だけでなく他の通貨に対しても買われるなど、やや流れに変化も生じた。急激な円高ドル安の流れがとりあえず、レートチェックや口先介入をきっかけに、いったんブレーキはかかった。
お盆休みの関係者も多いとみられるものの、市場は待ったなしとも言えることで、今週末にかけて政府・日銀がさらなる協議を行ない円高対応策を検討してくるとみられる。市場もかなり神経質になっているのが12日の相場の動きからも読み取れる。このような際にある程度効果的な手を打つと、その反応も大きくなり市場が動く可能性がある。ただし、その「ある程度効果的な手」が何かあるのか。政府・日銀の次の一手に注目してみたい。
